ゴー宣ネット道場

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笹幸恵
2020.1.23 17:37皇統問題

先例原理主義者、ますます支離滅裂。

『SPA!』1/28号で、倉山満氏が再び
皇統問題について言及している。
最初から最後まで、言っていることが
ムチャクチャだ。
冒頭からして、あり得ない設定で
恐怖心をあおる書き方をしている。

20XX年、皇室の後継者が絶えるのが確実となり、
日本国民はXX内親王の婿に中国共産党幹部の
子息を迎え、やがてその婿は天皇に即位、
皇位はその子孫に代々受け継がれていく――。

こんな事態になったらどうするの!?
と言いたいのだろうけど、
とりあえず、ツッコミどころは3点。

まず皇室の後継者が絶えるのが確実、
という設定。確実というところまで
皇族も政治家も国民もそれを放置しておくか?
その前に何とかしたいと思っているから、
多くの国民は女性・女系天皇もアリだと
考えているのではないか?

次に内親王のお婿さん。
なぜあえて中国共産党の幹部?
これは、米中が覇権を争っている中で、
小国日本はご機嫌を伺わなければならないという
状況設定なのだが、そんな事態も考えづらい。
そもそもこうした大国の言いなりにならなければ
いけない事態が出現するのなら、それは
皇統の問題である前に、政治の問題だ。
倉山氏は、政治家も国民もとことん愚鈍だと
思っているのだろう。
そうでなければ、このような状況設定は
想定しづらい。

そして3つめ。
中国共産党の子息である婿殿が天皇に即位する。
な、なんで???
それを現在の皇室や国民が受け入れるか?
そもそも内親王がいるのに、どうしてそれを
差し置いて婿殿が天皇になるのか。
現在の皇室典範で定められている「男系男子」ですら
ないではないか。
女の存在を無視する人というのは、
どうしてこうも突拍子もないことを思いつくのか。

で、こうした恐るべき悪夢は、先例を盾にして
防ぐことができる、としている。
いや、むしろ先例が重要だと言いたいからこその
状況設定だろう。でなければ、こんな荒唐無稽な妄想は
出てこない。
そして蘇我入鹿や弓削道鏡などなど、
また先例のオンパレード。


何度でも言う。
天皇が権力を持っていた時代と、今は違うのだ。
血で血を洗う権力争いが、今の皇室で本当に
起きると本気で思っているのだろうか。
倉山氏は先例ばかりに目を向けていて、
もはや現実の皇室が見えなくなっているとしか
思えない。
正田家や小和田家が権勢をふるっているか?
答えは一目瞭然ではないか。


もっと唖然としたのが、「雑系」発言だ。

愛子様(敬宮殿下)が、女帝となり、
平民の男と結婚され、その子息が
天皇になるとする。その場合、
後継者が女子でなければ「女系」に
ならないのだが、それを「女系論」を
自称する人たちは理解しているのだろうか。
男子でも女子でも良いとするのは
「雑系」にすぎない。

この発言には心底驚いた(二重の意味で)。
まず、女系というのは、男系男子ではなく、
女系女子で皇位をつなげ、という意味らしい。
女系論者は本当にそう主張しているのか?
私は寡聞にして知らない。
たとえそうだとしても、
皇位継承問題は、いかにして皇位を安定的に
継承していくかが重要な眼目であって、
男系男子か、女系女子か、という
二者択一の話をしているのではない。

そして、もし愛子様が天皇になって、そのお子様が
後を継がれる場合、お子様が男なら「女系男子」、
女なら「女系女子」だ。
しかし、こうした男でも女でも良いという考えは、
「雑系」だという。
「双系」ではない、「雑系」。
雑種とか雑草とかの「雑」だ。
要するに、皇族であっても「女」が天皇になるのは
雑(=いろいろなものが混じり合う=純粋ではない)
といいたいのだろう。
目を疑った。
こんな言い方ってあるか???
あまりにも女を侮辱している。
そして、あまりに皇族に対しての敬意を欠いている。
とても正気とは思えない。

倉山氏は先例原理主義者であるばかりでなく、
男系の血統の信奉者だ。
彼がこれまで記事でバカにしていた男系論者と
いったい何が違うというのか。
論理が破綻しているというレベルではない。
あまりにも妄想と女性蔑視がひど過ぎる。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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