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高森明勅
2020.2.8 03:29皇室

日本書紀と天皇の「3つのお立場」

先日の日本教師塾の打ち合わせは、半ば私の日本書紀講義のような感じだった。
昨日のブログでは、「3人」の先生方が集まったと誤記している。
集まったのはW校長、K先生、Y先生、W先生(紅一点)だから、
勿論4人が正しい。失礼。
その時に私が語った1つは、天皇の歴史上の「3つのお立場」と
日本書紀との対応関係だった。
これまで誰も指摘していないし、私自身もこの日迄、どこでも喋っておらず、
書いてもいなかった。
そもそも“3つのお立場”という視点自体、天皇の歴史的な在り方について
私なりに整理したもの。
具体的には以下の通り。

①皇祖の“系統と精神”の正しい継承者
②国家の公的秩序の頂点③国民結合の中心

これらと、
〔1〕憲法の規定(1条・2条)
〔2〕皇位継承儀礼(剣璽等承継の儀・即位礼正殿の儀・大嘗祭)
〔3〕正月行事(四方拝・新年祝賀の儀・一般参賀)
〔4〕お務め(国事行為・象徴としての公的行為・皇室祭祀)
との対応については、これまでも簡単に触れて来た。
一方、日本書紀との関連を見ると、次のように説明できる。
日本書紀の1・2巻(神代)は、①の“原点”についての伝え。
3巻(神武天皇紀)以降は歴代の天皇が紛れもなく①に当たることを
明らかにすると共に、②のお立場の確立と継承の経過を語る。
22巻(推古天皇紀)以降、最後の30巻(持統天皇紀)迄は、①と②に加えて、
③のお立場が確立するプロセスを明らかにする。
③が確立したのは、日本書紀で扱われる最後の天皇である持統天皇の時だった。
その確立には公民制が前提として不可欠で、③のお立場を証明するのが、
持統天皇のご即位に際して“初めて”執り行われた、皇位継承儀礼として
毎年の新嘗祭とは峻別された大嘗祭だった。

日本書紀は、その意味では天皇の①②③のお立場が揃う道筋を、
後世に残そうとした文献だったとも言えるだろう。
このような見方も、教師塾の研修会ではもう少し詳しく話をしてみたい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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