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高森明勅
2020.2.16 00:04皇統問題

もし菅答弁が虚偽なら…

2月10日の菅内閣官房長官の画期的な答弁。
もしそれが虚偽だったら。
その可能性についても、念の為に考慮する。
安倍政権ではこれまでも、しばしば虚偽・隠蔽などが見られたので(勿論、他ならぬ皇室に関する事柄で、国会で公然と虚偽を述べるなど、決して許されないが)。その場合、いくつかのケースを想定できる。その1は、水面下で旧宮家系国民男性らの意向確認(及び現状把握)を
試みたものの、残念ながら望ましい結果が得られなかった
(皇籍の取得を断られたり、身辺に問題を抱えていたり等)。
そこでやむなく、そうした作業の事実そのものを否定したというケース。
これはあり得るだろう。
私自身も以前、そのような話を仄聞したことがある。

その2は、既に皇籍取得に応諾し、その他の条件もクリアした人物がいても、
様々な反響を恐れて内密にしているケース。
しかし、これは考えにくい。
もしそうした人物が実際にいて、政府が“皇籍取得策”に本気であれば、
可及的速やかに制度改正に乗り出すはず。なのに憲政史上最長の政権が続く中で、
ここ何年も殆ど放置状態。
その間に、結婚その他、当人の事情や心境が変わる可能性は高い。
だから当然、急ぐ必要がある。
にも拘らず、急ぐ気配がまるで無い。
このケースは、ほぼ現実味が無いだろう。

その3は、これから(意思と現状の)確認作業に乗り出すつもりだが、
予め障害が生じないように、ひとまず隠しているケース。
だが、これも想像しにくい。
旧宮家系男性の皇籍取得は、「男系」維持の唯一の解決策(?)として、
一部の人々から早くより強く求められている。
だから、もし政府がこの方策を取り上げるつもりなら、とっくにその
作業に着手していなければおかしい。

結局、該当者を見つけられなかった「その1」以外は、リアリティーが無い。
よって、菅官房長官の答弁が、万が一虚偽であったとしても、
選択肢としては既に除外されていると考えるしかないだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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