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高森明勅
2020.2.21 01:47皇統問題

皇太子と皇嗣

2月10日の衆院予算委員会で山尾志桜里議員が菅内閣官房長官に
皇太子と皇嗣の“違い”を尋ねた時、菅氏は一瞬、ポカンとして
席を立てなかった。
皇太子と皇嗣の違いというごく初歩的な知識が、政府内で
共有されていない事実を露呈した場面だった。
菅氏は官僚のメモを頼りに「天皇の子であるかどうかの違い」といった
答え方をしたが、勿論不十分だ。
その時点で、皇位継承順位が“第1位”の皇族が「皇嗣」。
その皇嗣が「皇子」、つまり天皇のお子様(ルール上、原則として長子)
の場合だけ、「皇太子」という特別の称号が用いられる。

つまり、皇太子も皇嗣であることには変わりはない一方、
その皇子という位置付けから、特別の事故でも無い限り、
次の天皇となられることが“確定”している。
ところが、「皇太子でない皇嗣」の場合だと、必ずしもそれは確定していない。

例えば、昭和元年から上皇陛下がお生まれになった昭和8年まで、
昭和天皇のすぐ下の弟宮である秩父宮が皇嗣だった。
しかし、上皇陛下がお生まれになった瞬間に、上皇陛下が皇太子になられ、
秩父宮は継承順位が第2位に変更になった。

なので、秩父宮はもはや皇嗣ではなくなられた。
皇太子ではない皇嗣というのは、そういう“非確定的”なお立場だ。
だから皇室典範では、皇太子は他の皇族と違い、皇族の身分から離れない
決まりになっているのに、皇嗣にそのようなルールは無かった
(だから特例法第5条で、皇太子に準じると“改めて”規定する必要があった)。

皇太子と「皇太子でない皇嗣」では、明確にお立場が異なる。
従って、皇位の安定継承への道を探る場合、地位が確定した皇太子が
いらっしゃらない以上、現在の皇位継承順位を固定的に考える必要はない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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