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高森明勅
2020.2.28 00:34その他ニュース

神話の中の「女性の主体性」

日本神話の中には、「女性の主体性」が表現されている場面が、
いくつか描かれている。
例えば、大国主(おおくにぬし)の神を巡る神話の一コマ。ここではオオアナムジの神と呼ばれる。多数の兄弟達が、評判の八上(やかみ)ヒメに求婚する為に、
出雲から遙々と因幡に赴く。
この時、オオアナムジの神は旅に必要な用具などを兄弟から
押し付けられ、それを袋に入れて背負い、一行の後ろにトボトボと
従っていた。

ところが八上ヒメは、兄弟神達にキッパリと言い放つ。
「私はあなた達とは結婚しません。オオアナムジの神と結婚します」と。
鮮やかな逆転劇だ。
勿論、物語はこの後、更に再逆転、再々逆転とドラマチックな
展開を見せる。
だがそれはともかく、ここで八上ヒメの“主体性”が遺憾なく
発揮されている点は、見落とせない。

たった一言で、わざわざ出雲からやって来た多くの神々を、
スッパリと“振って”みせた。
だけでなく、自分の方から結婚相手を名指ししたのだ(しかも、
実際にこの後、結婚している)。
女性の主体性が一方的に排除されている“男尊女卑”の社会では、
このような神話は生まれないはずだ。

男尊女卑の「男系社会」だったシナ文明との違いは、
こうした辺りからも窺うことが出来る。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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