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高森明勅
2020.3.29 06:00皇統問題

皇位継承の「直系」主義

皇室典範の11条に以下の規定がある。

「1  年齢15年以上の内親王、王及び女王は、その意思に
基(もとづ)き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。


2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、
前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、
皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」

皇籍離脱を巡る規定だ。
注目すべきは“2項”。
同項によれば、原則として全ての皇族が“皇族”の身分を
離れる可能性を持つ(親王、王の妃やその子などは、原則として
配偶者又は父親たる親王、王の皇籍離脱と共に離脱。13条)。
その中で、例外となるのは「皇太子及び皇太孫」だけ。

では、皇太子・皇太孫で“ない”皇嗣はどうか?
その場合は、(同条による限り)やはり皇籍離脱の可能性がある。
皇室典範は、()内の例外規定を敢えて「皇嗣」と表記せず、
わざわざ「皇太子及び皇太孫」と“名指し”した。
これは、包括的に「皇嗣」とした場合、皇太子・皇太孫の他に、
「皇太子や皇太孫ではない皇嗣」も含まれてしまうからだ。

言い換えると、皇室典範は、皇太子・皇太孫“だけ”離脱の可能性が
全否定する一方、それ以外の皇嗣には離脱の可能性を残した
(この点、法制局「皇室典範案に関する想定問答」の説明は、
やや行き届いていない)。

後者なら、離脱しても次の順位の継承資格者を繰り上げて
対応できる、という考え方だ。
皇室典範において、“直系”の継承者である皇太子及び皇太孫と、
それ以外の“傍系”の皇嗣の位置付けに、大きな格差が設けられて
いることに、気付かなければならない。

これは、皇室典範が「皇位は直系で継承されるのが望ましい」
との立場(2・8条)であることに基づく。
この直系主義は、明治の皇室典範の原則を踏襲したものであり、
明治典範は前近代の皇位継承の伝統を踏まえて原則を定めていた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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