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高森明勅
2020.4.20 06:00皇統問題

国民がそのまま皇族に?

旧宮家系国民男性に新しく皇籍取得の可能性を
認めようとする場合、政府が第3の選択肢として
想定しているらしいのが、そのまま“直ちに”皇籍を
取得するというやり方。
既に、内親王との結婚(の強制)
という選択肢は
非常識、非人道的で、端(はな)から
あり得ないことを
指摘した。現存の宮家に養子に入るやり方も、
至難と言わざるを得なかった。
それらよりも更に“後ろ”に、
政府はこの選択肢を位置付けていた。
それだけ、このやり方が“無理筋”なのを、
さすがに自覚しているのだろう。

皇室典範15条には、皇族以外の者は皇族との
結婚を介さない限り、皇籍を取得できないことを
“わざわざ”規定している。
その趣旨は以下の通り。

「臣籍に降下したもの及びその子孫は、再び皇族となり、
又は新たに皇族の身分を取得しない原則を明らかにした
ものである。
蓋(けだ)し、皇位継承資格の純粋性(君臣の別)を
保つためである」(法制局「皇室典範案に関する想定問答」)。

「天皇の血族であっても皇族の身分を離れた方や
その子孫は皇位継承資格を持たない制度になっているが、
これは…一般国民と皇室の方々との区別を明確にすべきとの
理念が背景にある」(園部逸夫氏『皇室法入門』)

結婚という人生の一大事を介さないで、
どこかの宮家に養子に入ることもなく、“そのまま”皇族になった、
長年に亘り一国民だった人物が、例えば新年一般参賀の時に、
宮殿(長和殿)のベランダの端で、国民の祝賀に応えて
手を振っている光景を想像してみるがよい。
そこに自ずからな敬愛の念が生まれるだろうか?

そもそも、皇室の中にポツンと1人だけで宮家を立てて、
それでも皇室の気風を共有できるのかという、疑問も生まれる。
旧宮家系男性の皇籍取得案は、やはり妥当性と現実味の両方で、
大きな疑問符がつく。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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