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高森明勅
2020.5.2 06:00皇室

絵画に描かれた側室

地下鉄銀座線「外苑前」駅の近くにある明治神宮外苑
(そもそも駅名自体が明治神宮外苑にちなむ)。
その中心施設は聖徳記念絵画館だ。
明治天皇のご生涯を描いた日本画・洋画
(縦3㍍、横2.5㍍の巨大さ)合計80点を収める。
どれも当代一流の画家の手になるもので、
史実に基づいて描かれている。
同館の創建は大正15年(1926)だった。
ここに展示されている絵画の1枚に、「広島予備病院行啓」
と題した作品がある(画家は石井柏亭〔はくてい〕、
奉納者は日本医学会・日本医師会)。明治28年(1895)に、
明治天皇の皇后だった昭憲皇太后が広島陸軍予備病院に
わざわざお出ましになった時のご様子を描いている。

明治神宮外苑が編集・発行した図録
『明治神宮 聖徳記念絵画館壁面』(平成4年刊行)には、
以下のように解説している。「日清戦争が始まってから、皇后(昭憲皇太后)は、
常に出征軍人のことをご心配になり、義手義足をたまわったり
されました。
また、明治28年3月17日、東京をご出発、1週間にわたり
広島陸軍予備病院、呉海軍病院を慰問されました」と。

この絵を見ると、昭憲皇太后の後ろに女官(にょかん)で
権典侍(ごんのてんじ)だった園祥子(その・さちこ)と同じく
千種任子(ちぐさ・ことこ)の姿が描かれている。
この2人は明治天皇の側室だった。

園は男子2人・女子6人の合計8人の親王・内親王を
生んでおられた。
千種は内親王2人を生んでおられた。
こういう絵画を見ると、現代人の一般的な感覚とは異なり、
側室という存在が必ずしも“日陰”の存在ではなかったことが
分かるだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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