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高森明勅
2020.5.14 06:00その他ニュース

神道の女性観

前に仏教の女性観を取り上げた。
田上太秀氏の研究をもとに、大乗経典などに見えている
女性への差別意識について紹介した。
では、日本の民族宗教とされる神道(しんとう)の
女性観はどうか。

神道の場合は、仏教のような創唱宗教ではない。
元々、自然宗教だ。
だから、特定の経典は無い。
なので、神話や祭祀・神社などにおける具体的な女性の位置付けから、
それを探る他ない。

まず、神話に登場する神々の中で、最高神とされるのは
天照大神(あまてらすおおみかみ)。
言う迄もなく女性神だ。

その他にも、神話での女性神の活躍は目覚ましい。
日本の国土を生んだイザナキ・イザナミ2神の物語で、
女性から先に求婚してはいけないかのような場面が、
例外的に描かれているのは、シナの文献・思想の影響と
見られている(『洞玄子』など)。

むしろ、女性から声を掛ける形の方が原型に近かった。
日本神話においては、女性が差別されるどころか、
尊重されていた。

次に祭祀についても、最高神・天照大神を宮殿の外で祀るに当たり、
最初にそれに奉仕したのは、崇神(すじん)天皇の皇女・豊鍬入姫命
(とよすきいりびめのみこと)だったと伝える。

伊勢の神宮が現在の場所に祀(まつ)られることになったのも、
垂仁(すいにん)天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が
大神の神意を受けた結果だった。

その神宮の奉仕者の最高の地位にあったは、斎王
(いつきのみこ、さいおう)と呼ばれた内親王・女王だった。
最高神が女性で、それを祀る側の最高の地位にあるのも女性だった
(現在の神宮の神職の最高の地位にあられるのは、天皇陛下の
妹に当たられる祭主〔さいしゅ〕の黒田清子〔さやこ〕様)。

天皇の祭祀で最も重大な大嘗祭(だいじょうさい)や、
恒例祭祀で最も重い意味を持つ新嘗祭(にいなめさい)でも、
天皇のお側近くでお手伝い申し上げるのは釆女(うねめ)
という女性。

現在の宮中祭祀でも、最も神聖な場所でのご奉仕は、
内掌典(ないしょうてん)と呼ばれる女性が務めておられる。
等々。
先に紹介した仏教の女性観とは、全く異なる。
どころか、ほとんど正反対とさえ言えるだろう。

女性は神聖視され、大切な独自の役割を担う存在とされているのだ
(但し、現在の神社界が本来の神道の女性観にのっとった状態か
どうか、私は詳しく知らない)。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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