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高森明勅
2020.5.25 06:00皇統問題

秋篠宮殿下と「立皇嗣の礼」

東京新聞の吉原康和記者からご著書『令和の「代替わり」
―変わる皇室、変わらぬ伝統』(山川出版社)を送って戴いた。

これまで何度も取材に応じて来た記者(編集委員)だ
(一番新しくインタビューに答えた内容は近く掲載予定)。

この度の御代替わりを巡るメディア関係者の著書は何種類もある。
だが、単独の記者によって纏められた本は、珍しいのではないか。
今回の一連の出来事の記録というだけでなく、吉原氏独自の切り口が
見受けられて興味深い。
勿論、私のコメントも収められている。

同書には、目下、新型コロナウィル感染症の影響で延期されている
秋篠宮殿下の「立皇嗣(りっこうし)の礼」について、
以下のような記述がある。

「『立太子(りったいし)の礼』は皇嗣である皇太子の地位を
天皇が内外に明らかにする儀式…明治以降、『立太子の礼』を
挙げたのは、大正天皇、昭和天皇、上皇さま、天皇陛下の4例あるが…
『立皇嗣の礼』に至ってはそもそも(前近代を含め)前例がない。
…『三種の神器(じんぎ)』が天皇の皇位の証(あか)しとされるのと
同様、(立太子礼の中心儀式である立太子宣明の儀の後に、天皇
ご自身が皇太子にお授けになる)壺切御剣(つぼきりのぎょけん)は
皇太子の『護り刀』とされる。

…『立皇嗣宣明の儀』と『壺切御剣』の親授(しんじゅ)を済ませると、
秋篠宮さまと紀子さまは、皇居・宮中三殿の殿上に昇ることが
できるようになる。

このことを『昇殿(しょうでん)』という」秋篠宮殿下はやがて、
本来は“皇太子”の護り刀とされる壺切御剣を受け継がれ、皇室祭祀の
場においても、皇太子と同様に天皇の祭祀を継承されるべきお立場
として、殿上にて神事に携わられることになる。

しかし、これまでも述べて来たように、天皇陛下と秋篠宮殿下は
5歳しかお年が違わない。
望ましくない事故などがない限り、リアルに考えて、秋篠宮殿下が
実際に即位される可能性に低いと見るべきだろう。
そうすると、祭祀の継承について、滞りが生じることにも
なりかねない。

皇室典範は、皇太子と皇太子でない皇嗣を、明確に区別している。
将来における秋篠宮殿下のご即位を、あたかも既定の事実である
かのように見なして、それを前提に皇位の安定継承を巡る議論を
進めることは、控えた方がよい。

あり得べき、数少ない実効的な選択肢を、自ら放棄する結果に
陥る危険性があるからだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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