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高森明勅
2020.7.10 06:00皇統問題

「神武天皇の血筋」という“落とし穴”

「皇位の安定継承」を巡る議論の中で、時に極めて“危うい”考え方も
見掛ける。
それは、「神武天皇の血筋」に繋がる「男系男子」であれば、
皇位の継承資格を認めるべきだ、という考え方だ。

その人物が、現に「皇族」という身分であるか否(いな)かは、問わない。
これは、皇室と国民の厳格な“区別”を失わせる、「危険な」考え方だ。
歴史上、このような“恐ろしい”考え方が、国民にあまねく受け入れられたことは、
勿論ない。もし、そんな認識が広く行き渡っていたら、一体どうなっていたか。
国民の“中に”皇位継承資格者があまた存在することになろう。
平清盛も源頼朝も足利尊氏も、皆「神武天皇の血筋」に繋がる「男系男子」だった
(改めて言うまでもなく、清盛は桓武天皇を介して、頼朝や尊氏は清和天皇
を介して、それぞれ神武天皇に繋がる)。

ならば、天皇から「太政大臣」(清盛の場合)や「征夷大将軍」
(頼朝や尊氏の場合)に任命して貰うのではなく、自分自身が“より上位”の
「天皇」になれば良い、という発想に傾いたはずだ。

単なる血筋“だけ”で継承資格を認めるのは、日本の大切な国柄を破壊し、
「革命」を正当化する考え方。
皇室典範が、前近代にいくつかあった、皇族の身分を離れた者の皇籍への
復帰という「異例」を、制度上明確に排除(!)したのも、皇位継承の尊厳と、
皇室の「聖域」性を重んじた為に他ならない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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