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高森明勅
2020.7.22 06:00皇統問題

天皇と皇室典範

皇室典範を改正しなければ将来への皇位の安定継承は望み難い。
その典範の改正手続きについて、明治の典範には以下のような
規定があった(62条)。

「将来此(こ)ノ典範ノ条項ヲ改正シ又(また)ハ増補スヘキノ
必要アルニ当(あたり)テハ皇族会議(皇“室”会議ではない!)
及(および)枢密顧問ニ諮詢(しじゅん)シテ之(これ)ヲ勅定
(ちょくじょう)スヘシ」

皇室自律主義により、天皇の「勅定」とされていた。

皇室典範の性格を考えると、こうした手順が最も自然で妥当だろう。
ところが、今の典範はどうか。
実は制度上、(甚だ不合理かつ非人道的とさえ言い得るが)
当事者である天皇および皇族方の関与を全面的に排除しているのだ。
この点については以前、ある衛星放送の番組で、かねて尊敬する
憲法学者の方と、以下のようなやり取りをした。

憲法学者
「天皇は憲法4条によって国政に関する権能を否定されている。
しかし、皇室典範の中身には国政に関わる事項は一切、無い。
だから、天皇や皇族が皇室典範の在り方に言及されても、憲法上、
何ら問題にはならない」


「確かに典範には国政事項は含まれていない。
しかし、憲法2条には『国会の議決した皇室典範』と明記している。
そのこと自体の是非とは別に、憲法がハッキリと典範改正を
国会マターと規定している以上、国会で審議・決定すべき事項に、
天皇や皇族が直接、発言されることは、やはり4条との関わりで
問題視されてしまう」

憲法学者
「…」

今の憲法が国会主義を採用している限り、残念ながら、
上述のように解釈せざるを得ないだろう。
ならば、政府、国会、国民は、いかにすべきか。

天皇陛下のご真意がいかなるものかを、謙虚かつ真剣に探りつつ、
自分達の責任において、叡智を結集して最善の改正を成し遂げる
他ない。

国民の責任は大きい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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