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笹幸恵
2020.7.26 11:50メディア

罰則を科しても憲法上は問題ない?~長谷部恭男の驚愕発言

杉田敦法大教授と長谷部恭男早大教授による
朝日新聞「考×論」の記事で、
長谷部が驚くべき発言をしている。
コロナの感染拡大で、自粛ではなく
罰則付きの規制をしても違憲ではないと言うのだ。

(長谷部発言)
現憲法下では強制措置はとれないということではない。
いわゆる「3密」のような、感染リスクが明らかに高い店を
営業することは、そもそも憲法の保護の範囲外と考えられます。
営業を禁止し、違反者に罰則を科しても憲法上は問題ありません。
                                   (下線:笹)

これってつまり、営業禁止、守らなかったら罰則OKって
ことですよね?
こんなもの、本当に憲法が許しているの?
憲法の保護の範囲外なんて、たやすく言っていいの?
たかが感染のリスクが高いくらいで?
というか、感染のリスクが高い低いって、
どこで誰がどうやって「正しく」判断するの?
店なんて、どこもたいてい「3密」ですよ?
いわゆる「夜の街」の接待を想定しているんだろうけど、
スーパーだって、はっきり言って「密」ですよ?
だから小池都知事は一時期、スーパーの買い物の時間まで
都民に指示してきたんじゃないですか。
うちの近所のスーパーも営業禁止ですかね。
え? 感染防止対策をしていれば良い?
だったら「夜の街」だって同じでは?
昼間のスーパーだから良い、夜の街の接待だからダメって
それ、何の法的根拠もないんじゃない?

第一、感染リスクが高いといったって、
命を危険にさらす、人に危害を与えるなどと
どれほど明確に断言できるのか。
感染リスクが高いといわれる店で感染した若者の多くは無症状。
「ちょっと風邪っぽい」というレベルですらない。
にもかかわらず、憲法の保護の範囲外?
憲法ってそんなに器が小さかったんでしたっけ?
基本的人権も、個人の尊重も、職業選択の自由も、
生存権も、ぜーーーんぶ範囲外?
いくらなんでも乱暴すぎるでしょ。
また、もしその長谷部解釈が妥当なら、
政府は最初から外出自粛“要請”ではなく、
外出禁止命令を政府は出せたはずですが?

緊急事態条項を設けることについても、
長谷部は「国会で法律をつくればいいだけ」と言っている。
国会をさっさと閉じてしまったことに対する批判には同意だが、
国民のさまざまな権利を制限するであろう緊急事態時の法律を、
憲法との整合性を議論することなく進めていいのだろうか。
憲法が無視されるんなら、この国は立憲主義ではないことになる。
憲法なんて関係なく、バンバン法律が作れちゃうことになる。
護憲にこだわるあまり、憲法を軽視する結果となっているとは、
長谷部さん、なんという皮肉だろうね。


対談相手の杉田教授が、長谷部の解釈について
さまざまな条文をもとに疑問を投げかけているのだけど、
その返事はじつにのらりくらり。
結局、あなたの主張の法的根拠は何ですか、という点では
何の説得力もない。

こんな憲法学者の言説がまかり通って、いつの間にか
憲法の解釈が変わって、目をつけられた店は営業禁止、
基本的人権も生存権もあらゆる自由も保障されない、
となれば、中国共産党さながらの強権発動、
いずれ、ジョージ・オーウェルの『一九八四年』が
現実の世界となる。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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