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高森明勅
2020.8.6 06:00皇統問題

女性宮家と当事者のお気持ち

「皇室問題は当事者の考えも重要」(所功氏)という指摘がある。
これは全くその通り。

当事者のお気持ちを頭から無視するような議論は、到底認められない。
しかし、万が一にもそれを口実にして、皇室存続の為に必要不可欠な制度改正を、
徒(いたずら)に先延ばしすることがあってはならないだろう。
女性宮家の創設と当事者のお気持ちの関係をどう考えるべきか。
私が以前、女性議員飛躍の会(稲田朋美共同代表)でお話した内容を紹介する
(同会編『皇位継承 論点整理と提言』より。但し、一部手を加えた)。

「ご本人のお気持ちはもちろん重要です。
これまでのルールならご結婚とともに皇族の身分を離れられる。
国民の仲間入りをされる。
そうすると、これまで制約されてきた自由や権利がさまざま
認められることになります。

そのような人生を思い描いてこられたのに、急に制度が変わって、
ご結婚後もそのまま皇族にとどまられることに、にわかにご納得いただけない
場合もあるかもしれません。
その場合も、大変申し訳ないのですが、一般の国民とはお立場が違うので、
憲法第3章に列挙してある権利や自由が、無条件で保障されるわけでは
必ずしもない。

皇室典範が改正されて女性宮家を創設する制度になれば、
(対象となる内親王方は)基本的にはそれに従っていただくことになります。
それが、憲法第1章の『世襲』の『象徴』天皇という仕組みを設けている
ことに伴う、憲法上の“要請”ということになるでしょう。
その点は、一般国民を対象とする旧宮家案(があくまでも当事者の同意を
大前提とするの)と異なります。

ただし、(ご結婚に伴い)皇族の身分をどうしても離れたいという
お気持ちが強い場合は、皇室典範第11条の規定(皇族の身分の離脱)を
適用して皇籍を離脱されることになるでしょう。
しかし、前提条件が旧宮家案と女性宮家案では(皇族と一般国民という、
それぞれの対象者の身分の違いに対応して)まったく違う点を
見逃してはなりません」

“当事者”の方々は、むしろご自身の将来が“引き裂かれ”、
いつまでも決着しないことに、不安を抱き続けておられるのではないか。
政府・国会の責任は重大だ。
国民もこれ以上、政治の怠慢を許してはならない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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