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高森明勅
2020.10.4 06:00政治

麹町警察署の「終戦記念日」

靖国神社の社報『靖国』10月号が届いた。

元警視庁麹町警察署長の田代芳弘氏のご文章
「遥かなる英霊の思いとともに」が掲載されている。
感銘をもって拝読した。

言うまでもなく、靖国神社は同警察署の管轄内にある。
文中、署長時代(平成25~26年)に体験された「終戦記念日」の
様子を書いておられるので、その部分だけを引用させて戴く。

「8月15日は、麹町警察署にとっても、暑く、そして長い1日になります。
午前中は、管内の千鳥ヶ淵戦没者墓苑に各閣僚が参拝されます。
その後、正午には日本武道館で、天皇皇后両陛下をお迎えして、
政府主催の全国戦没者追悼式が執り行われます。

いずれも失敗の許されない厳しい警備です。
さらに自分(が署長)のときは、韓国議員団が靖国神社で
抗議を行うと事前報道され、これを知った右翼団体などが神社周辺で
殺気立って待ち構えるという不穏な事態となりましたが、
靖国神社のご協力を得て、両者を接触させることなく不法行為の発生を
回避することができました。

夕暮れ時になると、毎年、九段下交差点を靖国神社に反対する勢力の
デモ隊が、機動隊にガードされる形で通過します。
それに対し、カウンターとして抗議の意思表示をする方々も大勢
押し寄せてきます。

九段下の警戒に当たる警視庁機動隊の若者たちは、
デモ隊とカウンターとの間に立ち身体を張って不法行為の抑止に
当たるのですが、その双方から罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられ、
まさに『忍』の警備です。
日本は言論と表現の自由を保障している法治国家であり、
若い機動隊員らは、主義や主張そのものを保護している訳ではなく、
法秩序と民主主義さらに我が国の国際的信用を護っているのです。

自分は彼らのことを、靖国の英霊たちに、
『今に生きる若者たちも立派にこの国を護っております。
どうかご安心下さい』と報告させていただきました。
15日は、このように喧騒(けんそう)の中で1日が終わるので、
署長は参拝どころではありません。
自分は、翌16日、靖国神社のご厚意で昇殿(しょうでん)参拝を
させていただき、御祭神(ごさいじん)に対し無事に警備を終えたことを
ご報告し、そのご加護に感謝申し上げました」

当時の、警備の最高責任者としてのご苦労を、察することができる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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