時々、こんな質問を受ける。
「各種世論調査の結果を見ると、女性天皇、女系天皇を認める人達が
いつも圧倒的に多い。
なのに何故、政府・国会はこれまでモタモタして来たんですか?」と。
ごく当然の疑問だろう。
しかもロジカルに考えて、長く男系継承を支えて来た側室が不在で、
非嫡出による継承可能性が絶たれた以上、皇位の安定継承を目指すなら、
明治以来の「男系男子」の“縛り”を解除しなければならないことは、
自明の理。
となれば、益々、不可解だろう。
私の見るところ、これには2つ理由がある。
その1つは残念ながら、この問題について、
無関心で不勉強な政治家が多い、ということ。
勿論、政府中枢を担う官僚達は、とっくに“正解”を掴(つか)んでいるはず。
政府がこれまで繰り返して来た皇位の安定継承を巡る“巧妙な”答弁は、
明らかに正解を知った者の作文と考えられる。
政府・与党の有力な政治家も、問題解決の正しい方向性は、
およそ理解していると見てよかろう。
しかし、この問題に対して、積極的な関心もしっかりした
知識も乏しい政治家が、少なくないように見える。
それに加えて、2つ目の理由として、「男系男子」維持勢力は、
政治家も民間サイドも、すこぶる“熱心”だ。
この熱意は侮れない。
又、組織も持っている。
この、少数ながら熱意と組織を兼ね備えた男系派に対し、
多くの政治家は関心も知識も余り無い、という構図が、
この問題への政府・国会の取り組みを、
いたずらに停滞させ続けて来たことの背景にある。
これに、敢えてもう1つ付け加えるならば、
国民多数の女性・女系天皇を認める声が、
これまで世論調査における数字には表れていても、
(対立する勢力に比べて)“力強く”政治の場に届いて来なかった、
という事情もあるだろう。
少なくともこのテーマについては、「正解」は多数派国民の側にあり、
政府もそれを理解している。
この極めて有利な条件を、確実に生かすだけの熱心さが、
今、志ある国民に求められている。
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