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高森明勅
2020.11.24 06:00皇統問題

皇位継承、現行制度下での将来

今の制度がそのまま維持されたら、皇位継承の将来はどうなるか。
敢えて、比較的可能性が高いと考えられる予測を、試みてみよう。
天皇陛下がご高齢になられ、譲位をなさる場合。現在は皇嗣で
いらっしゃる秋篠宮殿下も、(陛下より僅か5歳お若いだけなので)
既にご高齢になっておられる。

そこで、皇室会議の議決によって、皇位継承の順序を変更し、
現在は継承順位が第2位の悠仁親王殿下が即位される(皇室典範・第3条)。
この流れだと、悠仁殿下はほとんど「皇嗣」の期間が無いまま、
いきなり即位されることになる。
皇嗣として、皇太子に準じるお立場で、皇室祭祀に携わったり、
重要なご公務に当たられたりしないで、そのまま天皇におなりになる。

これは、ご本人にとっても、祭祀・ご公務の継承の面でも、
かなり無理な形ではあるまいか。
そうかといって、前にも指摘したように、ご壮健な天皇陛下が、
弟宮を早く即位させる為に譲位されるというのは、“国民の為に”譲位を
願われた上皇陛下のお考えや、今回のご譲位の趣旨と違って来る。
率直に言って、恣意的な印象を拭えないだろう。
それに加えて、いわゆる「二重権威」の懸念が強まる。
従って、悠仁殿下は事実上、皇嗣を経ないで即位される可能性が高い。

その悠仁殿下が、ご即位の時点で既に結婚されていらっしゃるか、どうか。
その頃には内親王・女王方は恐らく、ご結婚により、国民の仲間入りをされて
いらっしゃるはず。
だから、お若い皇族は悠仁殿下お1方だけ。
そのような状況では、畏れ多いことながら、ご結婚のハードルは、
通常の場合の困難さ以上に、高くなってしまう。

悠仁殿下が未婚のまま即位されると、ご結婚はより一層、至難になる。
万が一、悠仁殿下が生涯、独身で通されると(戦後では桂宮の例があった)、
皇室はもうそれだけで、消滅の危機を迎える。そうではなく、ご結婚の上、
更に男子(複数?)に恵まれられた場合でも、危うい“綱渡り”状態は続く。

以上は、ことさら悲観的な予測を述べたものではない。
今の制度を維持したとして、可能性が高そうな事態を想定すると、
こうなってしまうということだ。

それでも政府・国会は、皇室典範の改正を、
もっと先延ばしできる、と考えるのだろうか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

 

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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