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高森明勅
2020.11.28 06:00皇統問題

国民民主党の玉木代表「皇女」制度案を批判

国民民主党の玉木雄一郎代表が11月26日の記者会見で、
政府が検討していると伝えられる「皇女」制度案を真正面から批判された。

共同通信・時事通信が配信した記事によれば、その主な批判点は以下の3つ。
1 皇位の安定継承に直接寄与しない。
2 ご結婚後、一般国民になられるなら、任務を辞退する自由も
当然保障されるはずだが、暗黙の強制になるのは問題だ。
3 「皇女」という語は天皇の娘を意味するが、それを他の
女性皇族にも使っていいのか。

玉木氏は前日の緊急シンポジウムに参加しておられる。
我々の問題提起をきちんと受け止め、政党の代表として早速、
“問題あり!”と発信して下さったのは嬉しい
(会場では私のブログ「皇室を滅ぼす『皇女』制度プラン」も配布)。

他の一般的な政治問題ならともかく、事柄は「国民統合の象徴」である
天皇・皇室に関わる方策。
なので、たとえ議員数は少数であれ、1つの政党の代表が“真っ向から
”筋の通った批判をしたとなると、全く無視はできない。

上皇陛下のご譲位を可能にした特例法を制定した時の経緯を振り返っても、
当然、それに一定の配慮を払わざるを得なくなる。
早々と、しっかり釘を刺して戴いたことになる。
これは今回のシンポジウムの確かな成果と言える。
世論の反応を見る為に、わざと情報をリークした政府サイドも、
こんなに早く、ロジカルな批判が、しかも党首という立場の政治家から
飛び出してくるとは、予想していなかったのではないか。

結果的に、とても良いタイミングでシンポジウムを開催できたことになる。
玉木氏は同じ会見で、特例法の「附帯決議」は、(“皇女”制度のような
ゴマカシではなく)皇位の安定継承と女性宮家の創設についての検討を
求めている事実も強調され、国会で速やかに議論を始めるように
呼び掛けられた。

これも、我々がシンポジウムで訴えていたことだ。
このような政治家がおられることは心強い。

追記。

今回のシンポジウムは、平日の午後4~6時という参加しにくい
時間帯の開催で、
金属探知機を通って入館しなければならない
不便な会場にも拘らず、
(最悪、無観客〔?〕に近くなるかと
心配していたが)
多くの方々にご参加戴き、深く感謝。
皆さんの熱心な参加態度は、
会場にいた国会議員やメディア関係者に、
この問題に真剣に心を寄せている国民
(しかもプロの運動家タイプ
ではない、健全な常識感覚を備えた人々)が

少なからず存在する事実を、しっかりと伝えたに違いない。

もし会場がガラガラだったり、周囲から信頼されていない感じの
参加者ばかりだったりしたら、開催したこと自体が逆効果になりかねない。
パネリストの結構、踏み込んだ議論に対して、身を乗り出さん
ばかりの熱意を持って、
静かに耳を傾けておられる姿は、
私にとって感動的ですらあった。

時間が限られていたので、参加者からの質問を十分に
受け付けられなかったのは、
申し訳ない。

又、当初、自民党からもそれなりに有力な政治家が参加して、
発言をしてくれる約束だったのに、急に欠席になったのは残念。
ちなみに当日は、会場の片隅に、それぞれ既に独立した私の子供達も
参加してくれていた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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