11月30日は秋篠宮殿下の55歳のお誕生日。
国民の1人として心からお祝いを申し上げる。恒例の記者会見でのご発言は、殿下らしく誠実かつ率直でご立派だった。
例えば、立皇嗣の礼について、以下のようにお述べになった。「私自身…(新型コロナとインフルエンザの両方が流行する時期に行うことに)
少しそのことは気にはなっていましたけれど、これ自体は国事行為
でありますので、私が何か言うことはもちろんないわけです」と。「何か言うことはもちろんない」という表現で、
“国事行為”に対して責任を負うべき内閣に、やんわりとクレームを
付けておられる形だ。
私が最も注目したのは、次のご発言。「(皇位継承順位1位の皇嗣になった心構えについて)
私は生まれてから今まで個体として同じ秋篠宮文仁(ふみひと)なわけですね。
それでずっと来ています。
したがって、何か区切り、節目があったから変わるということでは
ないわけですけれども、私自身は以前と変わらず一つ一つのことを
大切に務めていきたいと思っております」と。ここでも、殿下らしい自然体ぶりを発揮しておられる一方、
儀式を終えられて、次の天皇となられるご覚悟を改めて固められた、
という気配はおよそ感じられない。その一方、壺切御剣(つぼきりのぎょけん)を天皇陛下から授けられて、
宮中祭祀に当たり、今後は庭上でなく、殿内でのご作法に変わる点については
「気持ちを新たに致しました」とおっしゃられている。
祭祀に臨まれる殿下のお気持ちが伝わる。メディアが聴きたがったご長女・眞子内親王殿下のご結婚については、
憲法(24条)の国民の婚姻は両性の合意のみに基づくとの
規定を持ち出されていた(但し、男性皇族の場合はご結婚相手が
皇族になられるので皇室会議の同意が必要。皇室典範10条)。
今の皇室典範のルールでは、(女性宮家の制度がなく)未婚の
女性皇族は婚姻と共に皇族の身分を離れられる。そのことを踏まえれば、憲法上、当事者の気持ちを
尊重しなければならないとの、至って理性的なお考えを示されたものだ。
更に、この1年間を振り返られてのお話の中で、青森県の名久井農業高校が
「ストックホルム青少年水大賞」のグランプリを獲得した事実を、
嬉しそうに取り上げられていたことが印象的だった。「大変な快挙だと思います。
また、その時に高校生が行ったテーマが農業生産、特にアフリカとかですね、
そういうところの農業生産に寄与、貢献するということを目的にして、
多機能の集水システムを集水とともに土壌流出も抑えるわけなんですけれども、
それを日本の伝統的な工法、三和土(たたき)というものがありますけれども、
それを使ってみたらどうかというのでいろいろ実験しながら開発した
ということで、今後もしそういうことが実際に使われるようになれば、
それこそいろいろなところで農業生産に貢献するでしょうし、
またそれをこの古くから日本にあった技術を使ったということも
非常に興味深いことで、私はそのことを大変喜んでおります」と。【高森明勅公式サイト】
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