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高森明勅
2020.12.5 06:00皇室

天皇制を廃止しろ?

あれはいつだったか。
まだ民進党があった頃。
同党の憲法調査会(枝野幸男会長)で、憲法第1章(第1~8条)について
レクチャーを依頼された。

多数の国会議員が参加していた。
私の席の左側に会長の枝野衆院議員。
右側に事務局長(?)の辻元清美衆院議員が座っておられたはずだ。

私はいつものように、座を和(なご)める為に、
軽いジョークを辻元議員に投げ掛けた。

「辻元さん、憲法は(戦争放棄を定めた)第9条から始まっているんじゃなくて、
(天皇を象徴と規定した)第1条から始まっているんですよ」と。

これで会場から軽い笑いが起これば、「天皇」という、
いささか難しそうなテーマにもすんなり入っていける、
という私なりのサービス精神の発露…のつもりだった。

ところが、辻元氏は、「分かっています! そんなことは」と
真顔(まがお)で答えられた。
これでは台無し。

「嫌だなぁ。
辻元さん、ジョークですよ、ジョーク」と受け流して本題に入った。
この時の、辻元氏の過敏とも思える反応は、私にとって小さな謎のまま残った。
再びところが、先頃、ある本を読んでいたら、
平成12年11月3日に開かれた憲法関連のシンポジウムでの、
辻元氏の発言が引用されていた。

「私はいま『護憲派』と言われているわけですが、本当のことを言えば、
1条から8条はいらないと思っています。
天皇制を廃止しろとずっといっています。
…日本国憲法は9条から始め、天皇は伊勢にでも行ってもらって、
特殊法人か何かになってもらう。
財団法人でも宗教法人でもいいけど」と。
こんな発言は知らなかった。
恐らく同じような発言は、あちこちでされていたのだろう。

しかしその後、同氏は、考え方を改めておられる。
例えば、平成21年11月13日の上皇陛下の御即位20年をお祝いする
宮中での茶会にも、当時はまだ社民党に所属されていたものの、
ちゃんと正装して出席されていた。
偶然、その場に居合わせられた漫画家の小林よしのり氏から、
(反天皇のはずなのに)何故、出席しているのか問い詰められると、
「私は日本国憲法に天皇が規定されているから来たのよ」と言い張られたとか
(小林氏『新・天皇論』第3章)。

この頃には、既に第1~8条削除論は撤回されていたようだ。
そのような経緯があったのであれば、私の発言は、辻元氏にとって、
(せっかく治りかけた傷口に、わざと塩を塗り込むようなものだから)
この上なく挑発的又は屈辱的だったに違いない。

会の冒頭から、喧嘩を売っているに近い(勿論〔もちろん〕、
私にそんな意地悪な気持ちは、爪〔つめ〕の先ほども無かったのだが)。
ムキになられたのも無理はなかった。
やっと小さな疑問が氷解した。

過去の発言を知らなかったとは言え、大変失礼なことをしてしまった。

辻元氏は、今やご自分のホームページに、小林よしのり氏の応援メッセージを
同氏の似顔絵入りで、これみよがしに掲げておられる。
人は変わるし、成長もするのだろう…きっと。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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