ゴー宣ネット道場

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笹幸恵
2020.12.23 16:29メディア

玉川徹の日本軍に対する浅薄な認識について。

今朝の「羽鳥慎一モーニングショー」での玉川徹の
日本軍に関する発言は、あちこちのネットニュースで出ていた。
元内閣官房参与の田坂広志が、政府のコロナ対策は
「希望的観測や願望的予測によって中途半端な
対策を小出しにすることを繰り返している」と発言、
それについて玉川徹はこう言った。

「希望的観測や願望的予測によって、
中途半端な対策を小出しにするってのは、
太平洋戦争になぜ日本は負けたのかに興味ある人は、
いろいろガダルカナルとか含めて本を読んでいると
思うんですけど、まさに日本軍がなぜ負けたのかの
答えがこれなんです」

「あれから70年以上経って、日本の政府というのは
日本陸軍と何も変わっていないというのは、
今回、まさに明らかになった。
そんな国が軍隊なんか持てますか?」

空いた口がふさがらない。
例によって誤ったコロナ対策の認識を、
薄っぺらいだけの日本軍の認識にたとえ、
全く意味不明の結論を導き出している。

希望的観測や願望的予測が日本軍敗北の理由?
あのね、日本軍が敗北したのは「国力の差」です。
国力というのはいろんな要素が複合的に組み合わさっていて、
生産力や機械力といった物量はもちろん、人口も、
もっと言えば合理的な動員力や輸送力なども含まれる。
日本軍に希望的観測や願望的予測がなかったとは言わない。
けれどそれのみを敗因とするのはあまりにも浅はかだ。

第一、玉川の言にしたがえば、戦訓として導き出せるのは
「人は希望的観測や願望的予測を持てば必ず失敗する」
ということになる。
言っておくけど、人は希望を持たなきゃ生きていけません。
悲観と絶望だけでは心を支えられません。
もちろん事を始めるにあたって
「悲観的に準備する」というのは鉄則だ(人間はつい
希望的観測をしちゃう生き物だから、こういう言葉が
教訓として生きる)。
そんなことぐらい、エリート中のエリートが集まった
日本軍の軍人ならわかっていたはずだ。
ではなぜ負けたのか?
いや、もっと言えば負けるとわかっている戦争に
なぜ突入したのか?
そこを考えない人は「知性がある」とは言えない。
戦時中の日本人は愚かだった、
日本軍は愚かで好戦的な人々の集まりだった、
そう断じてしまうことほど愚かなことはないのだ。
玉川徹は、米軍には希望的観測や願望的予測が
なかったとでも言うのだろうか。
まさに勝てば官軍の発想で、結果論の域を出ていない。

コロナ対策。小出しで中途半端というけど、
ウイルスとは共存していくしかないのだから、
徹底した締め付け策を行っていったら経済が崩壊する。
そもそもGoToの取りやめなんて、観光業や宿泊、飲食業、
またそれに関連する様々な業種の人々を
切り捨てているようにしか私には映らない。
しかも、コロナが流行してもはや1年近く経とうとしている。
今回のウイルスに関しては指定感染症のレベルを引き下げ、
経済回すほうが優先だと世の中を見ていれば
わかるはずではないか?
いい加減、目を覚ませ!

最後に、「そんな国が軍隊なんか持てますか?」という発言、
これには呆れるのを通り越して笑ってしまった。
軍隊を持つのに、国は何か資格がいるのか。
日本軍の軍人とは違う、立派な人がトップなら、
この国は軍隊を持てるのか?
これぞまさに人治主義的な発想ではないか。
自分の愚かな発言が、表現の自由という
法治国家の恩恵を受けていることにも気づいていない。

政府(日本国民)が誤謬を犯すことは前提としているくせに、
自分の正義と無謬性は過信している。

バカの極致。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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