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高森明勅
2021.1.23 06:00その他ニュース

古代日本の「女性の地位」

わが国最古の仏教説話集『日本霊異記』(にほんりょういき、
成立は787年頃。822年頃に増補)。
その中に、古代日本の女性の社会的地位を窺わせる記事がある。
例えば、自分の夫に相応(ふさわ)しい男性を、両親や
その他の仲介者に頼らず、独力で探す女性(上巻、2話)。

又、自分の夫も抵抗できなかった、理不尽な国守
(地方行政を司〔つかさど〕る長官)を怖(お)じけづかせた
女性(中巻、27話)。

更に、地域の共同体が管理・運営する寺院の経済部門を
一手に担っていた女性(同32話)など。
或いは、地方豪族の妻が、自ら豊かな財産を蓄え、高利貸しをして、
暴利を貪る様子も描かれている(下巻、26話)。勿論(もちろん)、
これらをそのまま史実と見ることはできない。
しかし、まるで事実とかけ離れていたら、説話としての
魅力を持ち得なかったはずだ。
それに、人間の想像力には自ずと限界がある。
よって、これらを手掛かりに、古代日本における
女性の社会的地位の“高さ”を、ある程度、推測できるだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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