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高森明勅
2021.2.9 06:00皇室

皇后陛下のご療養

天皇陛下のお誕生日を控え、改めて皇后陛下のご療養の
状態にも、心を向けておきたい。
皇后陛下の輝くような笑顔の印象が強く、今もご療養中で
いらっしゃる事実を忘れている人も、ひょっとしたらいるのでは
ないか。

昨年の皇后陛下のお誕生日に際し、
医師団の見解が発表されているので、
謹んでここに掲げさせて戴く。

「皇后陛下におかれましては、昨年も医師団が説明いたしました
基本的な考え方を踏まえながら、引き続きご治療を継続して
いただいております。
本年は、新型コロナウイルス感染症のためにお出ましの機会が
減少しましたが、1月の講書始(こうしょはじめ)の儀に始まり、
初めてのご養蚕(ようさん)、立皇嗣の礼における立皇嗣宣明の
儀や朝見の儀など、感染予防に十分配慮されながらご活動を
続けられ、5回の賢所(けんしょ=賢所〔かしこどころ〕
・皇霊殿・神殿などの総称―引用者)儀式にも
お出ましになりました。

また、新型コロナウイルス感染症に関しても、16回に及ぶ
ご進講・ご接見をお受けになるなど、国民が直面している
様々な困難を心から気遣(きづか)っておられます。

また、皇后陛下には、学習院大学にご入学され、
新たな学習分野にオンラインで取り組まれ、日々お忙しく
されている愛子内親王殿下を、母親として温かく見守られ、
支えていらっしゃいます。

新型コロナウイルス感染症のためにご活動が制限され、
ご体調が整いにくくなっているなか、皇后陛下が
このように工夫を重ねられ、ご体調を整えながら
ご活動を続けるよう努力していらっしゃることは、
ご治療にあたらせていただいている医師団としても、
ご自信につながる望ましいことと考えております。

一方で、これまでも繰り返し説明して参りましたように、
皇后陛下には、依然としてご快復の途上にあり、
ご体調には波がおありです。
そのため、大きい行事の後や行事が続かれた場合には、
お疲れがしばらく残られることもあります。
過剰な期待を持たれることは、今後のご快復にとって、
かえって逆効果となり得ることをご理解いただければと
思います。

これもまた、かねて皆さまにお伝えしているところ、
現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況下で
難しくなっているものの、私的な部分でもご活動の幅を
広げていっていただくことが大切だと考えております。

皇后陛下には、これまで同様、周囲の方々の理解と
支援をお受けになりながらご治療を続けていただくことが
大切ですので、引き続き温かくお見守りいただきますよう、
よろしくお願い申し上げます」

もとより、誰よりも「理解と支援」を惜しまれないのは、
天皇陛下ご自身でいらっしゃるだろう。
皇后陛下が「努力」を重ねておられるご様子が伝わって来る。
文中に「賢所儀式」とあるのは、宮中祭祀のこと。
改めて確認させて戴くと、昨年、皇后陛下が
お出ましになった祭祀は、以下の通り。

3月20日、春季皇霊祭・神殿祭(大祭)。
6月16日、香淳皇后(昭和天皇の皇后)20年式年祭(臨時祭祀)。
9月22日、秋季皇霊祭・神殿祭(大祭)。
10月17日、神嘗祭(かんなめさい)賢所の儀(大祭)。
11月8日、立皇嗣の礼に当たり宮中三殿に親告の儀(臨時祭祀)。

一般の人々には、なかなかリアルに想像しにくいだろうが、
皇后陛下の場合は、祭祀に臨まれる時、普通の皇族と違って、
事前に厳重なご潔斎(けっさい)の上、祭祀に相応しく
髪を整えられ、古式の装束を召されて、三殿の殿内にて
ご拝礼なされる。

その心身のご負担は計り知れない。
今もご治療中の皇后陛下が、このように祭祀に
精励下さっている事実は、まことに尊い。

祭祀にお出ましになれない時も、御所にてご搖拝、
あるいはお慎みを欠かされない(新嘗祭〔にいなめさい、大祭〕
には元々、皇后のお出ましは無い。念の為)。
しかし、医師団の見解にもあるように、くれぐれも
ご無理をなされないよう、伏して願い上げる。

畏れ多いが、皇后陛下の最大のご責務は、将来、
ご結婚を介して皇族の仲間入りをされる方々の“希望”の為にも、
ご健康を回復され、日々をお幸せにお過ごし戴くことと愚考する。
そもそも、憲法に定める「世襲」の「象徴」天皇制度が健全かつ

安定的に維持される為には、天皇陛下をはじめ、
皇室の方々がお幸せでいらして戴ける条件が、
きちんと整っている必要がある。
最低限、国民の皇室へのしかるべき感謝と尊敬は欠かせないだろう。

「君が笑えば 世界は輝く…
僕らのよろこびよ君に届け」
(Journey to Harmony、嵐)

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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