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高森明勅
2021.4.9 06:00皇室

天皇陛下は毎年、孝明天皇のご命日に祭祀を続けられている

私が学生時代に、孝明天皇を刺し殺す場面を描いた
映画に抗議して、該当場面を削除させた話。少しだけ
補足しておこう。

孝明天皇は、当時の天皇陛下(昭和天皇)の
“ひいおじい様”に当たるので、今なら大正天皇の
位置におられた。

現在、大正天皇が刺し殺される映画が全国の映画館で
堂々と上映されるということは、少し想像しにくいのでは
あるまいか。
同作品の監督に直接、抗議した時、監督は
「明治天皇までなら皇室の祖先として配慮するが、
孝明天皇はもう歴史上の人物なので、そこまでの配慮は
必要ない」との考え方を示した。

これに私は、およそ以下のように反論した。

「それは大変な心得違いです。
天皇陛下(昭和天皇)におかれては、毎年、孝明天皇のご命日
(崩御〔ほうぎょ〕相当日)に当たる1月30日、皇居・宮中三殿の
皇霊殿で、恭しく孝明天皇例祭を奉仕しておられます。
孝明天皇どころか、もう1代前の仁孝(にんこう)天皇のご命日
(2月21日)にも例祭が、現在も執り行われているんです。
そうやって毎年、天皇陛下ご自身がお祭りを
続けておられる方であるという認識がきちんとあれば、
あのような設定は出来なかったはずでしょう」と。

この指摘に、監督はさすがに言葉に詰まった。
この事実があったので、結局、制作サイドの謝罪と
該当場面の削除に迄、繋がったと思う。
ちなみに、この映画会社が上映中の作品から問題箇所を
カットする事態に追い込まれたことは、
業界内で広く知れ渡ったようだ。
それが、その後、天皇・皇室に関わる作品を制作する際、
一定の慎重さを求める効果を持ったと教えてくれた人がいた。

なお、皇室祭祀では毎年、初代の神武天皇と
亡くなられた4代前迄の天皇を、丁重に祭られている
(神武天皇と昭和天皇は大祭、他は小祭)。
従って、天皇陛下は現在も、孝明天皇を祭り続けておられる。
ひょっとしたら、見落とされている事実かも知れないので、
念の為に付言しておく。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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