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高森明勅
2021.4.12 06:00皇統問題

皇位継承有識者会議を巡り、山尾志桜里衆院議員が質問主意書

4月8日、退位特例法の附帯決議に応え、皇位の安定継承を目指す
制度改正を検討する有識者会議で、櫻井よしこ氏ら5名から、
ヒアリングを実施した。

これがヒアリングの第1回。
そこでの発言は、対象者の名前が公表された時点で、ほぼ想像できた。
それよりも、同日、国民民主党の山尾志桜里衆院議員が同会議を巡り、
政府への質問主意書を提出されているので、むしろ、
こちらに注目すべきだろう。
同主意書での質問事項は3項目。

①皇位の継承順位について、一部の報道に
「現在の順位を変えないことが前提」という趣旨の報道があった。
現状からの変更の是非について、何らかの前提を置いているのかどうか。

②ヒアリングでの聴取項目の問9に「皇統に属する男系の男子」とあるのは、
いわゆる“旧宮家”に限定されないようにも読み取れる。
旧宮家を意味するのか、それとも対象となる範囲を広げているのか。
仮に広げているとすれば、いかなる基準で、どこまで広げるのか。

③今後のスケジュールについて様々な報道がなされている
(6月に会期末を迎える今国会中にもヒアリングを終え、
成果をまとめて国会に報告。
年内をめどに論点を整理。スケジュールありきではない)が、
とりまとめの時期について方針を定めているのか。
定めているならその方針を明らかにして欲しい。
定めていないならば、いつ誰がどのように定めるのか。
いずれも大切な事項だ。

①は、もし“前提”を置いているとすれば、ヒアリングでの
聴取項目と矛盾するか、聴取項目への特定の回答を、
予め(暗黙の内に)排除していることになる。
いずれにせよ、会議の運営の仕方に疑問が生じる。
又、②は、聴取項目の問いの表現だけからは、旧宮家に
“限定”する意味は読み取れない。
従って、この点について含意を確定しておくことは、
どうしても必要だ(この点、ヒアリングの対象者が誰も
不審に思っていないらしいのは、逆に心配)。
これまで先送りを重ねて来た経緯に照らして、
③についても気がかりだ。

良いタイミングで、適切な質問を政府にぶつけて戴いた。
山尾議員ならでは。
さて、政府の回答はどのような内容になるか。
なお、ヒアリングでのそれぞれの説明資料が
公表されているので、必要な範囲で改めてコメントしよう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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