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高森明勅
2021.5.30 14:27皇統問題

憲法上、可能な方策は女性・女系天皇と女性宮家のセットだけ

皇位の安定継承を目指す有識者会議。
具体的な方策として、ヒアリング対象者に5つの選択肢を提示している。

①女性天皇を可能にする。
②女系天皇を可能にする。
③女性宮家を創設する。
④内親王・女王がご結婚によって皇籍を離れた後も、
皇室のご活動を支援する。
⑤皇族ではない皇統に属する男系の男子が、養子縁組又は別の方法で、
新しく皇籍を取得できるようにする。

これらのうち、④⑤は、憲法が禁じる「門地による差別」に該当する
(宍戸常寿氏・大石眞氏)。
よって当然、除外されることになる。

すると、残るのは①②③のみ。
これらは、いずれも憲法上、何ら問題を含まない
(百地章氏だけ異論を唱えておられるが、無理な解釈で政府見解とも対立し、
取り上げるには及ばない)。

だけでなく、①②③は“全て”密接に関わり合う。
従って、これらのうち、どれか1つ、又は2つを選ぶというのは、
妥当ではない。

①女性天皇を認めるのであれば、
当然、そのご結婚およびお子様のご誕生の可能性が、予想される。
ならば、天皇のお子様が現にいらっしゃる場合、
その方に皇位継承資格を認めないというルールは、とても受け入れられない。

同じ天皇でも、男性天皇のお子様には継承資格を認めて、
女性天皇にだけ認めないという、天皇間の「差別」は、
とても正当化できないだろう。

よって、①を認めるなら、②も“一緒”に認めなければならない。
又、そうでなければ、肝心な皇位の安定継承には決して繋がらない。
更に、①によって内親王などに継承資格を認める以上、それらの方々が、
ご結婚“後”も皇籍にとどまられる仕組み、つまり③が不可欠だ。

しかも、②を認める以上、当然③も“世襲”でなければ、
制度として整合性を欠くことになる。
しかも、そうしないと、これ又、皇位の安定継承に繋がらない。
かくて①②③は、“セット”で認める他ないことを知るべきだ。

結局、皇位の安定継承を目指すなら、憲法上、可能な方策は
これらの三者のみであり、かつ三者のうち、どれ1つとして
欠けてはならない。

至ってシンプルな話なのだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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