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高森明勅
2021.6.16 09:58皇統問題

男系継承でも王朝交替、女系継承でも王朝存続という事実

皇位継承資格の男系限定を、無理な条件下でも維持しようとする人々は、
「女系継承は王朝の交替を意味するから駄目!」と主張されている
(王朝とは同じ君主の家筋に属する君主の系列)。

しかし、そんな単純な話ではない。

そのことは、例えばフランスの歴史上の王朝交替の実例を見ても、分かる。

カロリング王朝時代(843年~987年)の
第6代ウード、第8代ロベール1世(ウードの弟)は
ロベール家の出自であり、第9代ラウールはロベール1世の義子
(出自は領邦諸侯のホゾン家)。

ロベール家は勿論、カロリング王朝と血の繋がりは無い(当然、ホゾン家も)。
カロリング王朝が途絶えた後、カペー王朝(987年~1328年)に交替するが、
同王朝はこのロベール家に連なる。

そのカペー王朝の次のヴァロワ王朝(1328年~1589年)
の初代フィリップ6世は、カペー王朝の第10代フィリップ3世
(国王の代数としては6代前に遡る)の孫だから、
当然、男系の血筋では繋がっている。

にも拘らず、ここで王朝が交替したと見られている。
更に、その次のブルボン王朝(1589年~1792年)も、
初代のアンリ4世は、カペー王朝の9代・ルイ9世の
男系の10世の孫だった。

だから、男系の血筋ではカペー王朝及びヴァロワ王朝とも
繋がっている。
にも拘らず、血筋の遠さ故に、王朝交替とされている。

しかし10世というのは、わが国のいわゆる
旧宮家系の男性子孫が20世以上離れているのに比べると、
血縁的には遥かに近い。
それでも王朝交替とされているのだ
(日本の旧宮家の場合は、ずっと血縁が遠い上、
更に皇族の身分から明確に離れている)。

一方、オランダ王家の場合はどうか。

今のウィレム=アレクサンダー国王の前は、3代続いて女王
(ウィルヘルミナ→ユリアナ→ベアトリクス)だった。
当然、女系継承。
しかし、それによってオランニェ=ナッサウ家が断絶した訳ではない。
何の支障もなく、同一の王朝が存続しているのだ
(次代も長女が王位を継承される予定)。

男系継承が王朝の存続、女系継承が王朝の交替を意味するー
という“単純図式”では、歴史を正しく見ることが出来ない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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