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高森明勅
2021.9.8 09:00皇室

パラリンピックと障害者スポーツを応援し続けられた上皇陛下

東京パラリンピックが多くの人々に感動を与えて閉幕した。
東京オリンピックの開会式に対してボロクソに批判していた
私の身近な人物が、パラリンピックの閉会式については絶讚していた。
私自身は改めて、上皇陛下の障害者スポーツへの
長年に亘るご支援を、想起させられた。

《全国障害者スポーツ大会の起点》

昭和の東京オリンピック・パラリンピックの際(昭和39年)、
上皇陛下(当時は皇太子)はパラリンピックの名誉総裁をお務めになった。
これがきっかけとなって、障害者へのご関心を深められる。
大会終了後、関係者を集めて次のようにおっしゃられた。

「日本の選手が病院や施設にいる人が多かったのに対して、
外国の選手は大部分が社会人であることを知り、
外国のリハビリテーションが行き届いていると思いました」と。

つまり、パラリンピックに参加している諸外国では、
障害者も多くは社会の一員として活躍している。
これに対して、日本の場合は病院や施設に入り、
社会から隔絶されているケースが多く、
それは決して望ましいことではないという、
当時の実情への厳しい認識を示されたのだった。

その上で、「このような大会を、国内でも毎年行ってもらいたい」
との希望を述べられた。
それが事態改善に向けた1つの突破口になる、と考えられたのだろう。
このご提案によって、翌年から「全国身体障害者スポーツ大会」が
開催される運びとなった(現在は「全国障害者スポーツ大会」)。
以後、陛下は皇太子時代を通して毎年、大会にお出ましになり、
選手を応援されている(上皇陛下が即位され時代が平成に移ってからは、
天皇陛下が「皇太子」として上皇陛下のお気持ちを受け継ぎ、
そのお務めに当たられた)。

《上皇陛下の障害者福祉へのご貢献》

皇太子という重いお立場の方がご観戦になると、
当然ながら大会への注目が高まる。
メディアの扱いも違ってくる。
それを十分にご自覚の上で、障害者スポーツの支援に力を尽くされた。

大会にお出ましの際は、必ず地元の障害者施設を訪問されている。
これも一般の関心が障害者に向き、人々の理解がより深まることを
願われてのことだ。

上皇陛下は、目立たないご努力を積み重ねられて、
日本の障害者を巡る環境を改善するのに、大きな貢献をして来られた。
その事実について、上皇陛下の御即位20年奉祝式典(平成20年12月19日)で
壇上に立った日本身体障害者団体連合会の小川榮一会長は、
以下のように語っていた。

「なかなか障害者に対する社会の理解が進まず、
胸の痛む思いをしてきましたが、そんな私どもを一貫して
支えて下さったのが、天皇皇后両陛下でございました。
正確に申し上げれば、両陛下のお蔭で障害者福祉が
大きく前進したと言って過言ではございません」

「スポーツを通じ、社会参加の助長と、
障害や障害者に対する社会の理解が深まったことが、
今日の障害者福祉向上の原動力にもなりました」

「ハンディがあっても、国民の1人として尊重して下さり、
障害者とその家族、関係者に勇気と自信を与えて下さっている皇室こそ、
日本の素晴らしい国柄を代表されていると思っています」と。

《天皇として最後の記者会見でも言及された》

上皇陛下は「天皇」として最後のお誕生日(平成30年)に際しての記者会見でも、
次のように言及しておられた。

「障害者を始め困難を抱えている人に心を寄せていくことも、
私どもの大切な務めと思い、過ごしてきました。
…障害者自身がスポーツを楽しみ、さらに、それを見る人も楽しむ
スポーツとなることを私どもは願ってきました。
パラリンピックを始め、国内で毎年行われる全国障害者スポーツ大会を、
皆が楽しんでいることを感慨深く思います」と。

上皇陛下は、この度の東京パラリンピックでの
選手達の奮闘ぶりををご覧になって、どのような感慨を抱かれただろうか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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