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笹幸恵
2021.12.25 13:33皇室

週刊新潮の皇室分析、あまりに厚顔無恥。

今週の週刊文春・週刊新潮(12/30・1/6新年特大号)は、
いずれも皇室について取り上げている。

週刊文春
佳子さまに眞子さんと同じ結婚はさせない
秋篠宮「重大決断」

週刊新潮
〈短期集中連載〉なぜ「皇室崩壊の危機」は訪れたか
第1回 「開かれすぎた皇室」の果てに・・・

まずは文春。
タイトルにある「重大決断」とは何かと思いきや、
それについて述べているのは次の箇所だけ。
「秋篠宮さまは、眞子さんのように、
儀式も一時金もないような“類例のない結婚”を
佳子さまには絶対にさせない————と心に決めて
おられるのです」
「佳子さまの番になったら、もちろん本人の意志は
尊重するでしょうが、お相手への調査もしっかり行う
ことになるはずです」
(秋篠宮家の関係者)

いかにも週刊誌らしい、読んでみたら肩透かしのパターン。
これだけか。
記事のほとんどは、眞子さんと佳子さまのこれまでの歩み。
その中で、眞子さんの大学の卒論について
高森先生のコメントが掲載されていた。


一方の新潮。
こちらは、戦後の皇室の歩みを振り返り、
「開かれた皇室」に至る経緯と国民との関係性について
八木秀次、百地章のコメントを入れつつ展開。
記事の主旨は、次の一文にまとめられていると言える。

(SNSが発達し、批判が批判を呼ぶ社会において)
皇室が“開かれすぎた”結果、陛下と皇族方は
国民から敬愛という枠を超えて親近感を抱かれるに至り、
その“副作用”として皇室が何であるかを知らない、
そして知ろうとしない者が増えてしまったそれゆえ、ひとたび違和感や怒りの対象となれば、
容赦なく批判や憎悪のコメントを浴びせられる
状況になってしまったのだ。

この分析は、一面においては正しいのだろう。
しかし肝心の点が欠落している。
それは週刊誌を含むメディアがどんな役割を
果たしたか、という点だ。

何しろ記事では冒頭から、眞子さん圭さんの一連のバッシングに
自分たちはまるで関係のない、第三者であるかのスタンスを
とっている。

新天地に渡ったお二人が残した爪痕は、日々メディアを
賑わせてきたトラブルよりはるかに深く、重い。
戦後、皇室が営々と築き上げてきた国民との信頼関係を、
いとも無造作に瓦解させてしまったことで、巷には
お二人のみならず秋篠宮家、ひいては皇室そのものへの
畏れを知らない批判の声まで上がる始末だった。

なんだこれ、他人事か?
信頼関係を瓦解させたのは小室夫妻だと
言わんばかりではないか。
しかも、今さら「〜始末だった」なんて、どの口が言う。
新潮だってそのお先棒を担いだくせに。
むしろ率先してバッシングしたくせに。

そして、皇室が開かれすぎた結果として、
まとめではこう述べている。

皇室の意義をまるで理解せず「一般人目線」で
眞子さんに近づき、首尾よく思いを遂げた小室さんも
また、こうしたSNS時代の「落とし子」といえよう。

なんでこういう結論になるのかさっぱりわからない、
悪意むき出し。
新潮こそ、借金だ金銭トラブルだと騒ぎ続け、
事態を悪化させ、眞子さんを苦しめ続けた張本人なのに、
それを「皇室の意義を理解しない小室さんが近づいたから」
と論点をずらしているのだから、じつに姑息。
そうじゃないだろう。

皇室と国民の信頼関係が瓦解したとするなら、
それは眞子さん、圭さんが原因ではない。
開かれた皇室が問題なのでもない。
皇室が“開かれすぎた”からでもない。
最大の原因は国民の劣化だ。
国民と共にあろうとした戦後の皇室に対し、
大衆はそのありがたみを忘れたのだ。
あるいはそのありがたみを当然のこととしたのだ。
そこに皇室に対する知識不足やSNS時代の到来があり、
メディアはこぞって面白おかしく書き立て、
大衆に阿ってこれでもかと煽りまくった。
節度というものを取っ払ったら、人間は畜生だ。
それをまざまざと見せつけたのが週刊誌であり、
新潮はその代表格。

自ら火をつけておきながら、自分は安全な場所にいて
「火事ですね。皇室が開かれすぎたから起きたんですね」
と分析してみせるこの厚顔無恥っぷり。

見抜け、良識ある国民は見抜け。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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