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笹幸恵
2022.5.27 08:23皇室

曲解のオンパレード『WiLL』7月号、岩田温の記事

『WiLL』2022年7月号に、
『秋篠宮』ーその慄然と国難
という記事が載っていた。
書いたのは政治学者の岩田温。

江森氏の著書『秋篠宮』を読んで
慄然としたらしい。

江森氏が極左思想に影響を受けている、と岩田は書く。
極左とまではいかないが、左翼的な思想の人だとは
私も感じた。
が、江森氏に感じた違和感以上に、
岩田には違和感を覚える。
一読して、何とも悪意に満ちた曲解をもとに
持論を展開しているからだ。

たとえば眞子さんの結婚について。

結婚問題が混迷したのは小室氏側の問題ではなく、
制度の問題だと江森氏は言いたいようだ。
すなわち、皇族の「自由」が制限されていることを
問題視するのである。

おお、ちゃんと江森氏の意図を汲み取ってるじゃん、
と思いきや、こう続ける。

「皇族にも一般人と同じ自由を」
主張したいのだろう。俗耳に入りやすい
言葉ではある。

皇族の自由が制限されていることに言及すれば、
「一般人と同じ自由を主張」することになるのか!?
飛躍し過ぎている。

また、江森氏が極左だとする根拠として、
彼が奥平康弘氏に傾倒していることに触れている。
確かに『秋篠宮』でも紹介されていた。
岩田が誌面で明らかにしている、
憲法9条に関する奥平氏の考えには私も全く賛同できない。
しかし天皇や皇族の自由、
また天皇制と憲法体系との整合性といった
奥平氏の主張は、今につながる問題提起ではないのか。

ところが岩田はこう書く。

簡潔に言えば、奥平氏は天皇、皇室を
民主主義の敵として憎悪しているのだ。

えええ!?
さんざん奥平氏の記述を引用しているが、
憎悪している箇所は見当たらないけど。
問題提起しただけで「憎悪」になっちゃうわけ?
どういう理屈かわからない。

さらに意味不明なのがこちら。

江森氏は国家の存在意義に対しても
否定的な見解を述べている。
「人々の生き方や価値観が多様化している。
グローバル化によって国家の線引きは
意味をなさなくなっている」
私は江森氏に問いたい。(中略)
かりに国家の線引きが意味をなさないとするならば、
日本国の象徴である天皇陛下の存在も不要、
時代遅れになるのではないか。(中略)
国家を否定しながら、国家の象徴を
肯定することは論理的にあり得ない

あらためて『秋篠宮』の該当部分を読んでみると、
性別に関係なく有能な人物を評価するという
秋篠宮さまの姿を「ジェンダー平等」だとした上で、
江森氏は次のように記している。

人々の生き方や価値観が多様化している。
グローバル化によって国家の線引きは
意味をなさなくなっている。
現在の日本や世界で、社会の分断や
格差の拡大は深刻さを増すばかりだ。(中略)
現代社会の難題に対しての向き合い方も、
令和の皇室は問われている。

前後の文脈からして、
価値観の多様化といった世界的な潮流は
日本にも流れ込んできているし、
格差の拡大といった社会問題は
国境に関係なく日本にもある、
日本は日本のことだけを考えていればいい
わけではない、ということを言いたいのでは
ないかと思うけど。
にもかかわらず、
「グローバル化によって国家の線引きは
意味をなさなくなっている」という一文だけを
切り取って、さも反国家、反天皇だと
決めつけるのは、悪質なミスリードだ。
だいたい、コロナウイルスなんか
国家の線引きが意味をなさない典型ではないか。

曲解、曲解、また曲解。

ついでに、前半では眞子さんの結婚について
触れている。
「個人情報がいろいろとうるさい時代なので、
家庭状況などを調査すること自体に問題があります」
と秋篠宮さまが言った、という江森氏の記述に、
「本当に何も調べていなかったのかと衝撃を受けた。
一般の家庭でも、結婚相手がいかなる人物かを
調べるものではないだろうか」
と述べている。
で、「私事だが、結婚に際して・・・」と続くので、
てっきり岩田は妻の家庭を調査したのかと思いきや、
こう書いてあった。

私事だが、結婚に際して妻のマンションの書棚を見たら、
渡部昇一先生の著作がいくつも並んでいた。
それを見て、この人なら大丈夫だと感じたものである。
誰かに調査を頼んだわけではないが、
相手がどのような人物なのかを調べることは
結婚の前提だと考えていた。

なんじゃそりゃ。
岩田にとって「調べる」とは「書棚を見ること」らしい。
それが眞子さんのお相手を調査しなかったことへの
批判の根拠になると思っているらしい。
どうかしている。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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