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笹幸恵
2022.7.9 15:50日々の出来事

安倍元首相銃撃事件について

安倍晋三元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

昨日は衝撃をもってこのニュースを受け止めた。
が、その後の報道やSNSで飛び交う言葉に猛烈な違和感を覚えた。


ひとつは民主主義への挑戦とか、民主主義を破壊する蛮行など、
民主主義を信じる「善」と、それを破壊しようとする「悪」という
二項対立の構図を自明としたフレーズ。
銃撃した犯人の供述では、宗教に対する恨みがあったわけで、
「安倍氏の政治信条に対する恨みではない」という。
ならば、参院選の応援演説中であったとしても、
民主主義云々は関係ないはずだ。

こうした物言いは、真実を見抜く目を曇らせる。
正しく美しい民主主義を守り抜こうという崇高な位置に
自分を座らせ、あまりに容易く自己陶酔できてしまうから。
民主主義が絶対正義のように思い込んでいることにも
私は疑問を持つ。

もっと言えば、公文書改ざんだって民主主義の破壊行為だ。
近畿財務局の職員がそれによって自死に追い込まれた。
今、安倍氏銃撃事件の怒りを露わにしている人は、
これを民主主義への挑戦だと声をあげただろうか。


もう一つは、逮捕後間もなく出てきた「元海上自衛官」
という肩書き。
任期制(3年)だから、組織にとってはいわば期限付きの
パートのような位置づけだが、それでも公務員だから
経歴がついてまわるのだろう。
それにしても、だ。
『銃撃容疑者 自衛官時代に、小銃組み立てや
射撃訓練を受けた可能性』(毎日新聞)
などと見出しが躍る。

なんだそりゃ。
「だから銃撃した」とでも言いたいのか?
話が甚だしく飛躍している。
任期制隊員の小銃訓練の時間など限られている。
フィリピンで制式軍用銃の実弾訓練をした私のほうが
よほど取り扱いは慣れていると思う。
そのことと、手製の銃を作ることとは全く別の話。
あまりにナイーブな言説がまき散らされている。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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