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高森明勅
2022.8.26 11:15皇統問題

憲法第2条に規定する「世襲」という概念をどう理解するか?

皇位の安定継承を目指す制度的検討を進める場合、
最も初歩的な論点は何か。
憲法第2条に「皇位は、世襲」との規定があるのを
どう理解するか、ということだろう。

この点をハッキリさせる為には、判例・政府見解・学説に
目を配る必要がある。
しかし、今のところ判例はなく、今後もしばらく期待し難いだろう。
よって、政府見解と学説について簡単に紹介しておく。

まず、学説はどうか。

「世襲」は天皇の血統(皇統)による継承を意味しており、
その中には男性も女性も、男系も女系も含まれる-というのが
(一部に異説もあるが)、一般的な解釈だ。いくつか具体例を挙げよう。

「男系の男子に限られることは、(男性・女性、男系・女系を含む
“世襲”という広い要件のみを規定した)憲法上の要件ではなく、
法律(皇室典範)上の要件であるから、法律を改正して
変更することができる」
(清宮四郎氏『法律学全集3 憲法Ⅰ〔第3版〕』昭和54年)

「旧憲法第2条が『皇位ハ…皇男子孫(こうだんしそん)
之(これ)ヲ継承ス』と定め…たのに対し、現行憲法第2条は
(“世襲”という広い要件を規定しているだけで)男子が
継承する旨を定めていないことからも、
憲法は皇位継承資格を男系男子に限定せず
(つまり世襲には女性も女系も含む)…と考える方が無理がない」
(園部逸夫氏『皇室法概論』平成14年)

「(憲法第2条の)世襲とは、その地位につく資格が
現に天皇の地位に在る人の血統に属する者に限定される
ことを意味する。
…皇統とは天皇の血統ということであり、男系とは
(その天皇の血統の中に含まれる)男子の系列である」
(野中俊彦氏・中村睦男氏ほか『憲法Ⅰ〔第4版〕』平成18年)

「しばしば、現行憲法の下でも女性天皇-いわゆる女帝-は
可能かという問題が議論される。
…(憲法は“世襲”という広い要件のみを規定しているので)
女性天皇は皇室典範を改正すれば実現可能である
(=憲法改正は必要としない)とする法律事項説…が
多数説のように見受けられる」
(大石眞氏『憲法講義Ⅰ〔第2版〕』平成21年)

(つづく)

追記

8月24日、「The Tokyo Post」に拙稿が公開された。
皇室の方々の「自由と人権」がテーマ。

『皇室の方々に「自由と人権」は無いのか?』

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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