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高森明勅
2022.10.19 09:00皇統問題

「お前ではダメだ」-敬宮殿下に向けられる残酷な政治の視線

作家の赤坂真理氏が次のような一文を書いておられた。
平成26年の文章だ(『愛と暴力の戦後とその後』)。

「私は、敬宮愛子様の母親である雅子妃のことを、
以前、ちょっと気味の悪い人だと思っていた。
公務を果たせとか鬱がどうのという話ではない。
もし私が小学生だったとして、あるクラスメートの母親が、
毎日わが子を心配して『一人参観』しに来ていたら、
そらちょっとそのおばさん気味が悪いだろ。
そのくらいの気持ちだった。

けれど、あるときふと、愛子という子供の目線になってみたとき、
世界はまるで違って見えたのである。
敬宮愛子という女の子は、生まれてこのかた、
『お前ではダメだ』という視線を不特定多数から
受け続けてきたのだ。
それも彼女の資質や能力ではなく、女だからという理由で。

それは、どうにもならない。
ゆくゆく彼女の時代となることを視野に入れた女性天皇論争も、
国会での議論が、秋篠宮家に男児が生まれた瞬間に、
止んでしまったのだ! 

もう、彼女が彼女であることそのものが、
無意味と言われているのと一緒である。
彼女は生まれながらに、いてもいなくてもよくて、
幼い従兄弟の男児は、生まれながらに欠くべからざる存在なのだ」

わが国の政治(政府・国会)は敬宮殿下に対して、
畏れ多いが「(天皇・皇后両陛下のお子様であっても)
お前ではダメだ」「いてもいなくてもよい」という視線を、
そのご誕生以来、変わらずに向け続けて来た。

国民も無関心なままそれを見逃して来た。
何とも申し訳ない残酷な事実ではあるまいか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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