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笹幸恵
2025.4.18 07:48皇統問題

旧宮家の男系男子養子案、6つの疑問。

安定的な皇位継承についての全体会議が開かれた。
会議後の衆参両院正副議長の会見のニュースがこちら。

(NHK)安定的皇位継承めぐり衆参議長ら会合 とりまとめ案作成へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250417/k10014782261000.html

(産経)安定的な皇位継承、復帰案は旧4宮家有力 衆参正副議長がとりまとめ案提示へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/8e308bccdb5247511f34398bbd2a65a1505098ee

産経は「復帰案は旧4宮家有力」などと書いているが、
NHKの報道をみると温度差がある。
「有識者会議に出席した専門家が、4つの宮家に未婚男子がいる
という内容の資料を提出した」というだけの話のようだ。
産経新聞は前のめりが過ぎる。

いずれにしても、大枠は2つ。

①女性皇族が結婚後も皇室に残る案をめぐり
結婚の際に皇室に残るかどうか選択できる制度を
設けるべきだという意見が相次いだ。

②旧皇族の男系男子を養子に迎える案をめぐっては、
対象を戦後に皇籍を離脱した11の宮家の子孫に限るべきだ
という意見が多く出された。

今後、どのように衆参正副議長が取りまとめていくのか不明だが、
②についての疑問は何一つ解消されていない。

・旧宮家で、今は一般国民として生活している家族や
(該当するとされる)本人の意思を確認しないでいいのか。

・迎える養親はどの宮家のどなたなのか。
その方の意思を確認しないまま法制度を作るのか。

・そもそも立法事実がないまま法律を作るのか。

・「戦後に皇籍を離脱した宮家」に限定することに
どのような正当性があるのか
(日本国憲法下で皇族だったといっても、たった5ヵ月。
GHQの政策とは関係なく、もともと傍系宮家は
「皇族ノ降下二関スル施行準則」で近い将来、
皇籍離脱することになっていた。とすると、
「君臣の別」という”伝統”をどう考えるのか。
全く前例がないけども!)。

・憲法14条(法の下の平等)に違反する疑いは
きれいサッパリ晴れたのか。
門地による差別にあたらないのか
(皇室は例外などというのは詭弁、
なぜなら対象者は「一般国民」だから)。

・直系のお子様がいらっしゃるのに、
なぜ皇位継承を女性にまで広げる議論をしないのか。
一般国民の男系男子養子案を優先させ、
「皇族数の確保」としてお茶を濁すのはなぜなのか。

②の男系男子養子案を法制化するなら、
以上の質問に答えられなければ話にならない。
本当に天皇や皇室に対して敬愛の念を持っているなら、
これをあやふやになどできないはずだし、してはならない。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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