私は、共産主義・マルクス主義というイデオロギーについて、あらゆる共産主義国家で行われた独裁や圧政、唯物論的価値観や計画経済という概念が根本的に持つ問題など多数の観点から、歴史との連続性を持つ現実の国家運営の理念としては適切では無いという考えです。
また、政党としての日本共産党の主張も、憲法9条をはじめとする様々なテーマにおいて、考え方が合いません。
しかし、昨日(2025年4月17日)に行われた4回目の「「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」について、日本共産党の小池晃書記局長が会見で述べた内容は、徹頭徹尾「筋が通って」いました。
下記動画の前半部分をご覧ください。
会見と同じ要旨は、同氏のXにも投稿されています。
正直な所、個人的には、日本共産党が天皇・皇室について深い思いを持っているとは考えていません。しかし、日本国憲法の「第一章」に記載された国の根本となるこのテーマについて、本会合の進め方や「養子案」に存在する重大な問題点へ的確な指摘を行っています。
その意味で、イデオロギーの如何に関わらず、この件においての日本共産党の姿勢は立憲主義国家の政党の振る舞いとして非常に「まとも(当たり前)」なもの。
一方、有識者会議で憲法学者から出た違憲の疑義ほか様々な問題を無視し、議長・副議長による強引な「とりまとめ」に持ち込もうとする姿勢は、特定のイデオロギーによる、偏向した「国政の私物化」そのものです。
よく、皇位継承の男系男子固執者から、「女系天皇が誕生したら、皇位の正当性が無くなったとして共産党が天皇制廃止を言い出すに決まっている!」という、妄想にもとづいたイチャモンが発せられています。
しかし、そんなまわりくどい所でなく、養子案のゴリ押しによって皇室の中に「違憲の疑義」を負わせてしまう事があったら、そちらの方がはるかに強く「天皇・皇室廃止論」の根拠になってしまうのが、なぜわからないのでしょう?
たぶんこのブログを公開すると、私に対して「共産主義の手先め!」的な罵倒がいっぱい飛んでくると思うんですが、「〝反共〟を記号のように唱えていれば自分は保守!」と考えている単細胞は、日本にとんでもない厄災を招いてしまう事があります。
その代表例が統一協会を母体とする「国際勝共連合」。かつての冷戦状況下において、日本での共産主義の拡大を防ぐという触れ込みで、岸信介などの有力政治家、笹川良一などのフィクサーなどと深い関係を築きましたが、その結果、強烈な反日本・反天皇主義である統一協会というカルトが、自民党を中心とした政界の中に深い影響力を持つというとんでもない事態を招いてしまいました(そして、統一協会の機関誌である世界日報では、皇位継承の男系男子固執が強く主張されています)。
これについては様々な書籍や番組などで追求されていますが、日本の歴史上でも稀に見るレベルの間抜けで愚かな行いと言えるでしょう。
論理・道理に則った思慮、そして多数の国民の声も無視して「結論ありきでの収束」を目指すような本会合の運営は、これよりさらに深刻な厄災を皇室、そして日本にもたらす事は確実です。
保守を自称する政治家諸氏は、臆面もなく欺瞞を述べたり、またはそれを傍観する事で、結果として「共産党が一番まとも」な状況になっても、本当に良いのでしょうか?
会合に参加した以外の政治家にも、自身の「個」としっかり向き合いながらの熟考および行動を望むと共に、日本共産党には引き続き「筋」を通した主張を貫くことを期待します。