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大須賀淳
2025.6.3 18:40その他ニュース

百地章の「自爆論理展開」

「正論」7月号の、読売提言へのヒステリー特集へのツッコミシリーズ最終回、百地章編です。

八木秀次の回 竹田恒泰の回

 

百地は「『男系』を妨害する野田佳彦の正体」というタイトルで寄稿しているのですが…正直、先日書いた「百地章による、野田・馬淵両氏攻撃のロビー活動」で取り上げた怪文書とほとんど同じなので「その稿をもちましてツッコミに代えさせていただきます」にしちゃっても良い気もするのですが…(笑)

 

ただ百地、よほど読売提言で血圧上がったのか、「ホームグラウンド」の正論誌上だから水を得ちゃってるのか知りませんが、罵りや破綻のレベルがレッドゾーンを振り切っています。

 

例えば、先述の記事で取り上げた、百地が政治家に郵送している怪文書のタイトルは「なぜ『立法府の総意』が纏まらないのか?」というものでした。一応、公的な発言としての体裁を保とうというギリギリの冷静さが残っています。

 

しかし、今回の正論記事のタイトルは「『男系』を妨害する野田佳彦の正体」!ゴシップ週刊誌さながらの俗々しさ丸出しですが(先日の八木もそうでしたが、教授がこんな汚言を撒き散らして、学生がどんな気持ちになるか考えてないのかね…)、もう主題が皇統の安定でも議論の促進でもなく「男系への固執」そのものになっています。

 

なので、例えば立憲の野田代表への攻撃も


野田氏が自ら纏めた党見解を無視して暴走し立法府の取り纏めを妨害し続けてきたこと、しかもその理由が「女系天皇の実現」であることは、既に参両院正副議長や石破茂首相にも説明している。首相の反応は「え?自衛官の子といっていたのに」とのことであった。たとえ自衛官の子であろうがなかろうが、左翼は左翼だが。


 

最初、何の事書いているのか不明でしたが、野田代表の父上は自衛官なのに「女系天皇公認という〝左翼の考え〟を持っている事を言いふらしてやるぞ!」という脅しなんでしょうかね(それにしても、石破首相が本当に上記引用のような発言してたら色々ヤバいよなあ。バレちゃったの、百地のせいだよ(笑))。

 

ただ百地、頭に血が上りすぎてもう何も見えなくなっているのか、そのすぐ後で盛大に自爆しています。


野田氏の暴走振りはすでに与野党の幹部や多くの自民党国会議員、さらに主要メディアの知るところであり、もはや氏は「裸の王様」だ。いつまでその強気は続くのか…。


 

いや…そもそも百地がそこら中に野田氏の悪口を言いふらしまくってるのに、産経の10倍以上の発行部数を持つ「主要メディア」の代表格である読売が野田氏に近い論調の提言を出したから、こんなにキレ散らかした文章を書いているのでしょ?

 

自ら往来の真ん中で「俺は素っ裸だ!ホレホレホレ、目を見開いてココら辺をじーっくり見やがれ!ホレホレ!」とアピールするなんて、さすが産経界隈の重チン!(変換はご自由に)。

 

こんな感じで完全に冷静さを失っているので、ツッコんでいくと全文を引用しなければならない程に破綻だらけ。

 

例えば、宍戸常寿・東大教授による、養子案への「門地による差別の疑義」に対しては、


しかしながら、これも面妖な話だ。なぜ宍戸氏は通説を無視した議論を展開するのか。憲法14条の「法の下の平等」は、「国家と国民の関係」について定めたもの、つまり国による差別を禁止したものであって、「皇位の世襲」を定めた皇室はその例外である。


 

面妖」読売提言が出た時に某長島昭久議員(某になっとらん!)も使ってたけど、この界隈で流行ってるのかな?

 

それは良いとして、憲法14条違反への疑義は、一般国民の中から「旧宮家系子孫の男系男子に相当する人物」だけを皇族の養子にできるという決まりを国会議員の議決による法律で定めるのだから、これは(現時点の皇族内にのみ適用される「皇位の世襲」の外側になる)国家と国民の関係そのものであるが故に生じるのです。

 

百地の理屈は「旧宮家の子孫は、皇族とも一般国民とも違う特権階級である」という価値観(まさに「門地による差別」)が無いと成立しませんが、本当にそう思っている事を堂々と述べています。


しかも、旧宮家の方々は皇室とかなり近い親戚関係にあるうえ、「菊栄親睦会」を通じて皇室とは親密な関係にある。にもかかわらす、その子孫の方を「一般民間人」と貶め、皇族として迎えることを否定しておきながら、他方では、女性皇族の配偶者つまり皇室とは縁もかけらもない文字通りの「一般民間人」を皇族にせよ、と主張するのだから矛盾極まる。


あー…、旧宮家の子孫は一般民間人であるという法的事実を言う事は「貶めている」事にあたるなどという、個人の特殊な信仰の話を始めちゃった。「〝法学者〟」としての土俵から盛大に飛び出している事を大々的にアピールしています(「まわし」も外しちゃってるのかな?)。

 

さらに、文中では先の怪文書に続いてよしりん先生、そして高森先生の名前を出して攻撃していますが、ゴシップ週刊誌的なタイトルに違わず、完全な嘘まで交えた罵倒を展開しています。


両氏の説には曲解が多く、妄言さえ目に付く。その代表例が「愛子天皇論」だが、両氏は様々な屁理屈をこねて秋篠宮皇嗣殿下や悠仁親王殿下を貶め、「愛子天皇しかない」と繰り返してきた。


百地が「秋篠宮皇嗣殿下や悠仁親王殿下を貶め」ていると述べる根拠は、現行の皇室典範でお二方が皇位継承順1位と2位である事。それを元に「『愛子天皇』は法律上あり得ない。つまり違法である」などと書きますが、「じゃあ養子案も現行典範で違法」で終了です。

 

大丈夫かな、何で「よりによってそこ?」みたいな、自爆の論理展開ばっかりするんだろう…。

 

もう散々わかっていた事だけど、百地章は未来に渡る安定的な皇位継承になんか1mmも興味が無いのがはっきりわかります。だから(自分サイドに近いと思っていた)読売新聞に「皇統の安定 現実策を」と言われて「現実策なんか話しだしたら、俺が男系派の重チン(変換はご自由に)としてエバリたいだけで、現実策なんかまーったく無い事がバレちゃうじゃないかー!」とヒステリーを起こしているわけですな(今回の「正論」記事、全部これ)。

 

以上、3回に渡って「正論」へのツッコミを書いて来ましたが…充足感ないなー(笑)。もはや、主張を広めるどころか「疑問を抱き始めた読者を繋ぎ止められる」ような生きた言葉が全く無いんですものね。

 

せめて、瑞々しい言葉を発せる次代の書き手を見つける・育てる位しないと、「永遠の休刊」はすぐそこじゃない?と心配に…はまーったくなっていないので、どうぞそのまま(笑)。

大須賀淳

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