2024年2月に、衆院補選における国民民主党の公認を取り消された後、同年9月に自死した高橋茉莉氏。
自ら命を絶った理由の核心を知る事は不可能ですが、高橋氏が擁立されるに至った経緯は、公認取り消し時の高橋氏の声明文から知る事ができます。
これを読むと、玉木は高橋氏と知り合ってすぐに出馬を打診。それも、政治活動が初めての高橋氏が「都議会などに出馬し、地道」に臨んで行きたいと希望していた所を、党の側がかなり強く国政への出馬を推した経緯がわかります。
地道に政治家としての経験を積みたいと考えていた人に、コンベアに乗せるように国政への出馬を推し進めながら、曖昧な理由で文字通り「放り出す」。
全く持って筋の通らない話ですが、玉木は政治経験のまったくない高橋氏に対して、なぜこれ程強力に国政へ出馬させようとしたのか?
一つ確実に思いつくのは、高橋氏が「インフルエンサー」(SNSでの影響力、発信力の強い人)だったから、というもの。
声明文にリンクした高橋氏のXアカウントはそれ程フォロワーが多くありませんが、その一方でInstagramでは7万人以上のフォロワーを持ち、ファッション系などの情報発信の案件も受けていたようです。
玉木の頭には、高橋氏を候補にすれば「映える」という短絡的な思考しかなかったのでしょう。
高橋氏の政治的な信条・信念は(Xポストなどは大部分が削除されているので)不明ですが、少なくとも地道に政治活動を行い、世の中を良くして行きたいという思いがあった事は、声明文から伺い知れます。
しかし、玉木の目に高橋氏は「映える、使える美人」としか映っておらず、調子よく「ナンパ」したものの、何か面倒そうな話が出たのでポイ捨てしたのです。
広告の分野では、インフルエンサーに発信を依頼する「インフルエンサーマーケティング」が盛んです。ここで一番嫌われるのが「炎上」。
最近は企業が非常に神経質になっており、事実かどうかはまったく関係なく「炎上したインフルエンサーはすぐ切る」という風潮が蔓延しています。これは、芸能人へのキャンセル・カルチャーと全く同じ構図ですが、大手事務所といったバックを持たないインフルエンサーは、さらに小さいちょっとした事で活動の道を絶たれてしまいます。
高橋茉莉氏は、玉木を始めとする国民民主党のプッシュに呼応し、退路を断つ相当な覚悟を持って出馬に臨んだのでしょう。
しかし、玉木そして国民民主党は、実際には真偽不明の雑言が飛び交うちょっとした炎上になった途端、無慈悲に「ポイ捨て」した。
こんな構図、一般企業の広告においても酷い話ですが、国政政党が一個人の影響力を利用しようとして行う事は絶対に許されません。
玉木雄一郎のマインドの中には「自分は現代のSNSメディアを熟知しており、マーケティング的な手法もフル活用して社会を動かしてやる」という意識が存在するのでしょう。
しかし、その視座は徹底的な「私利」のみであり、そんな価値観の者を国政に関わらせてはいけません。
これは「ガバナンス」なんかのさらに根底にある精神性の欺瞞ですので、玉木および国民民主党がここから変わって行く事は全く期待できないでしょう。
玉木雄一郎は、政治の場から退場して、「お得意のマーケティングスキル」で広告代理店でも始めれば良い。
この方向のシリーズ、さらに続きます。