「国民が、安定した皇位継承に危機感を持つ」なんて、とても不幸な事。
この事態を招いたのは、もちろん皇室の責任ではなく、確実に「政治の責任」です。
小泉内閣の時点で、性別を問わない直系長子優先の継承が決まっていたら、この20数年で「将来の皇太子〜天皇」としての愛子さまと国民との関係が緩やかに醸成され、皇室と国民の心理的な絆も今よりさらに固いものとなっていたでしょう。
皇位継承から男尊女卑がなくなった世の中で、他の旧弊が大きな顔をできるわけがありません。
女性だけでなく、あらゆる人の生きやすい空気が、SDGsやらコンプライアンスやら持ち出さなくても、じっくり紡がれていたはずです。
そして愛子さまに加え、眞子さま、佳子さま、悠仁さまが皇位継承資格を持って成年され、次世代の皇室への安心感は、そのまま国民の心理の安定につながった事でしょう。
それが、政治による「先送り」で全てぶち壊しになった。
男系固執している政治家の大半は、男系血統への強いこだわりなど、本当は持っていないでしょう。
「悠仁さままではゆるがせにしない」と唱えておけば、自身が現役のうちは責任を伴った決定を逃れられるだろうと「先送り」しているだけです。
だから、旧宮家系子孫の男系男子案がどれだけ荒唐無稽で実現性がなくとも「意思を持った対象者がいなかったのは本人の気持ちの問題で、自分らのせいではない」と言い逃れする腹づもりで喧伝しているのでしょう。
政治家の「先送り」に、何かしらのペナルティを設けられないものか?
本当は選挙がその役割を持つはずですが、現実は「選挙結果に影響するから先送りしよう」なんて堕落が生まれる体たらくです。
一案。
「選挙が忙しくて政治が止まる」なんて本末転倒も良い所。パフォーマンスでしかない街頭演説なんて全廃して、投票日の前日まで国会を開き、ギリギリまで重要議題を徹底した方が良いんじゃないだろうか?
期待する有能な政治家がいても、選挙活動のためにあちこち飛び回るなんて、全く公のためになっていない人材の浪費でしかありません。
「議」員なんだから、議論に全力を費やし、その内容をもって国民が判断するというのが正当な形のはず。
少なくとも、皇室にまつわる議論は、議事録だけ公開なんて隠匿形式じゃなく(密室協議なんてもっての外)、全編中継しながらガンガンやってほしい!
よしりん先生も寄稿していた週刊ポストの特集で、本郷恵子氏は直系長子優先の皇位継承を「自然でシンプルでわかりやすい」と形容していました。
全く同感です。自然でシンプルでわかりやすい仕組みの中にこそ、本質となるエートスが確かな形で流れていくのだと思います(同時にその中には、重厚な蓄積や意味が内包されている)。
腹に一物あり、誤魔化したい者ほど、〝仕組みだけ〟を無駄に複雑にし、目くらまししようとする。
その「後ろめたさ」は、間違いなく先送りの罪悪感からも生じているものだと感じます。