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高森明勅
2010.10.19 13:35

支え合う「公」と「私」

前回の道場では、「公」と「私」を単純な二項対立の図式で理解すべきではないことを述べた。

「私」の現場から立ち上がったのではない、「公」の領域に関わる言説や行動は空虚であり、空虚であるが故に必ず倨傲な逸脱に陥るし、「公」と接点を持たず、「公」への志向性を持たない「私」は貧しく、孤立的であるが故に必ず歪にネジ曲がってしまうからだ。

「私」に根を持たず、「私」を媒介しない「公」的言動として、ある種の運動主義を連想する人がいるかも知れない。

だが、その典型例は連合赤軍ではあるまいか。

彼らにとって、革命の大義という「公」的命題の前には、化粧という「私」的要素の混入一つが、十分殺害の理由となり得たのだった。

逆に「公」から背を向け、それとの繋がりを失って奇形化した「私」の典型例は、サティアンに閉じ籠ったオウムの一般信者ではないか。

あの不気味で無意味なヘッドギアは、その表徴のようにも思える。

「私」と「公」は相互に媒介し合い、支え合うべきで、両者を分断させてはならない。

その上でこそ、「一旦緩急」あった場合の身の振り方も、見定められるはずだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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