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高森明勅
2010.12.1 03:04

秋篠宮殿下のお誕生日に際してのご発言から

去る11月22日、秋篠宮殿下は、記者からの「皇室の将来のあり方」を巡る質問に対し、次のようにお答えになった。

「まず、兄弟での話し合いということですが、これは幾度か行っておりますし、今後もそういう機会を設けて、続けていきたいと思っております。

また、将来の皇室像については、やはり今までの経緯、蓄積、それから伝統など、そういうものを踏まえることは大事だと思いますけれども、やはりその時代その時代に即した、どういう在り方がふさわしいかということを、常に考えていかなければいけないのではないかと思っております。…」と。

ここで殿下は、極めて注目すべき事柄を、お述べになっている。

その一つは、皇室の将来について、今上陛下のご憂慮をうけて、皇太子殿下と秋篠宮殿下が、既に「幾度」も「話し合い」を持たれていたこと。

更に今後もそうした機会を積極的に持とうとしておられることも、明言された。

このご発言は、本年2月19日の皇太子殿下のご発言とぴったり重なる。

皇太子殿下はそこで、こうお述べになった。

「天皇陛下のおっしゃっておられることを真剣に受け止めております。

秋篠宮とは様々な事柄について話し合う機会がありますし、今後もそのような機会を持つことになると思います」と。

こうした両殿下のご発言は一方で、皇室の将来にわたる安定した存続を支えるべき、皇位継承を巡る制度の整備に責任を持たなければならない政府と国会の無為、怠慢を浮き彫りにするものだ。

昨年11月6日、今上陛下はご即位20年に当たり、皇位継承の将来に対する危機感を率直に表明され、「皇位継承の制度にかかわることについては、国会の論議に委ねるべきである」と、国会の責務に明確に言及なさった。

その上で、「将来の皇室の在り方については、皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要」と仰られたのだ。

後者については、陛下の思し召しを拝して両殿下の「話し合い」が重ねられていた。

しかるに憲法上、制度整備の当事者たる国会はこの間、何をしてきたのか。

全く何もしていないではないか。

ということが、図らずも両殿下のご発言によって暴露されたことになる。

二つ目は、過去の「経緯、蓄積、伝統」を踏まえつつも、現代及びこれからの時代に「即した」在り方を追求しようとしておられる、ということだ。

これまた、皇子殿下の2月のご発言の主旨と見事に一致する。

皇太子殿下はこう述べておられた。

「将来の皇室の在り方についての私の考えは…その時代時代で新しい風が吹くように、皇室の在り方もその時代時代で変わってきていると思います。

過去から様々なことを学びながら、将来の皇室の在り方を追い求めていきたいと考えています」と。

かかる重要な一致からしても、両殿下がいかに深く「話し合い」の場を持たれているかは、拝察するに難くないだろう。

陛下が「尊重」されるべしとされた両殿下のお考えは、ほぼ陛下ご自身の思し召しに沿った形で収斂されているのではあるまいか。

両殿下は、制約されたお立場の中で、可能な限り明確にご意思を示されている。

それは、いたずらにに過去の「経緯、蓄積、伝統」の形骸のみに拘泥する立場とは、およそかけ離れたものと言えよう。

あとは、そうした皇室のご意思を拝して政府、国会がその責務をきちんと果たせるか否かが、問われているのだ。

我々国民も、政府、国会を叱咤し、督励する責任がある。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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