ゴー宣ネット道場

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切通理作
2010.12.30 05:01

年末年始はせつない書店にようこそ

よしりん企画の時浦さんが、帰省されるギリギリまで編集してくださった「せつないかもしないSPECIAL クリスマスのせつない書店にようこそ」UPして頂きました。
http://www.nicovideo.jp/watch/1293612987

時浦さん、本当にありがとうございます!
無事故郷に帰れましたでしょうか?

欧米ではメリークリスマスとハッピーニューイヤーは同時に祝われますが、今回の動画も、紅白に飽きた人がその代わりに見てくださったり、また正月に見たい番組のない人も見て頂くとうれしいなと思います。
日本では恋愛消費大国の象徴イベントのようになっているクリスマスですが、本来、長くて深い夜に普段のわだかまりを越えて、人々が新しい年に向けて祝福の言葉を投げかけ合う季節なのです。
「せつない」という言葉は、寒さとともにある東北の人々にとっては、帰宅してホッとする瞬間に湧く感情とも通じると聞きました。
そんな時期に、遠い昔に聞いた物語に、もう一回耳を傾けてくださればと思います。

いつもは一回30分でゲストは一人ですが、今回は中村うさぎさん、枡野浩一さんに、番組にもおいで下さった中沢健さん、伏見憲明さんをお迎えし、3時間に及ぶトークになりました。

公開収録の場となった阿佐ヶ谷ロフトエーには100人を超える人たちに来て頂き、生中継では500人を超える人が見て下さいました。
道場の参加者の方やこのブログを見てくださっている方で見に来て下さった方がいらしたら、この場でお礼申し上げます。

このSPECIALではゲストの方自身の作品ではなく、古典的な作品についての読書会という初の試みでしたが、テキストとなった小説について特に中村うさぎさんが共通したモチーフをわかりやすく浮き彫りにしてくださったので、仕掛け人としてはありがたかったです。

 『人魚姫』『マッチ売りの少女』『幸福な王子』と、名前は知っていても最近読み返していないという人の多い作品に、大人になってからアプローチすると、恋の苦さが加味されて、また格別な味わいがあります。
「名作はこんなことを言っていたのか」と気づく瞬間がいくつもありました。

 『初恋芸人』という小説で純朴な青年の失恋を実体験から描いた中沢健さんが恋愛初心者としてあえて迂闊な発言をして、中村うさぎさんに突っ込まれるという起伏があることで流れが単調にならず、ご両人のサービス精神に助けられました。

ひとりぼっちの時は片思いの切実さを小説という形で切実に綴れていたのに、現実に彼女が出来ると「自分は何も失いたくないから、人魚姫の気持ちは分からない人間だった」と中沢さんが気づいた瞬間のリアルドキュメントでもあったと思います。

遠くの人にばかり心を向ける存在に恋をするつらさは大きいと思いますが、「逆に、そういう存在でなければ好きになれないのも事実。だから恋って難しいのよねえ」と、終わった後に中村うさぎさんがおっしゃっていました。

最後出演者全員に短歌をひとつずつ作って読み上げてもらい、僕も作りましたが、正直、しじみさんの短歌には「やられた!」と思いました。
どんな短歌だったのかは、ぜひ見てみてください。

この出張版の経験も活かして、読書番組「せつないかもしれない」も内容を充実させていく所存です。

来年もよろしくおねがいいたします。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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