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高森明勅
2011.2.2 09:32

やっぱりトンデモ「Y染色体」

未だに「Y染色体」論にしがみつこうとしている人がいるようだ。

何だか気の毒になってくる。

でも他に男系限定の説得力のある根拠も見当たらないので仕方がないのか。

この仮説が現時点で科学的に否定されているのなら論外。

そうでなくても、科学的命題は必ず反証可能性を孕む。

それが科学の「宿命」だ。

50年、100年後も維持されている保証はどこにあるのか。

そのようなものを皇統を巡る議論に持ち込むこと自体、筋違いと言う他ない。

更に、もし「神武天皇のY染色体」なるものを持つことが皇位継承の条件なら、

過去10代(8方)の女帝は当然、

「Y染色体」を持たないから、資格もない人物が不当に天皇になったと主張しなければならない。

そうすると、これまでの125代の中、10代は正当な継承でなかったとして、除外すべきことになる。

また逆に、桓武天皇からわかれた平氏の平将門や清盛、北条義時、清和天皇からわかれた源氏の源頼朝、足利尊氏なども皆、

神武天皇のY染色体」を受け継いでいるはずだから天皇になる資格があったことになる。

推古天皇をはじめとする歴史上の女帝の皇位継承の正当性を否定し、一方
で足利尊氏らに天皇になる資格を認めるのが「Y染色体」論だ。

これがトンデモでなければ一体、何と言えばいいのか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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