ゴー宣ネット道場

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切通理作
2011.6.5 04:14

「地震・津波・放射能」は日本の宿命

昨日は都内で大学の教え子だった人の結婚式に行きました。
新郎は福島出身で、
親族には被災した方や、
現地に派遣された期間を終えたばかりの
自衛隊の方もおられました。

めでたい席だからといって不自然に地震や被災の話題を避けることなく、
新郎のお父様がまっすぐそれを受け止めて、
そんな中での二人の門出に向けて
締めくくりのご挨拶をしていたのが感動的でした。

「配慮と自粛は違う」として
「一日一回、被災地のことを思い出してほしい。
後は自分の日常の中で笑ったり泣いたりしながら
仕事を通じて経済活動を回すのが復興」
という声を現地から伝える作家・
泉美木蘭さんをゲストにお迎えした『せつないかもしれない』
第26回「地震・津波・核と共存すること」
のことが、
自分の中で再度自然に受け止められました。
http://www.nicovideo.jp/watch/1307085039

天災と思うしかない地震や津波と違って、
原発問題は他人をあげつらって憂さ晴らしできるので、
ある種の人々の格好のストレス発散の対象になっている気がします。

しかし「地震・津波・放射能」は、
もはや日本の三大宿痾
でしょう。

ここに一枚の写真があります。

番組でゲストの泉美木蘭さんが掲げたこの写真は、
被災地となった土地の人たちが
元々地震と津波と共存することを
叩きこまれていたことを示す写真であり、
それすら上回る高波だったことも
同時に示しています。

放射能に関しても
たとえ推進とは逆のコースを描くにしても、
これから(も)何十年、何百年という、
少なくとも僕らが生きている時間いっぱいぐらいは
ゆうにカバーする時間付き合っていかねばならない。

それが、今回の動画の表題である
「地震・津波・核と共存すること」の意味するところです。

日本に住む以上、日本人全体が引き受けて
いかねばならない問題。

しかし、番組でも言ったとおり、
いまストレス発散的な他者叩きをしている人は、
それをすれば放射能が消えてなくなるとでも
思っているのか……と疑問を感じます。

これまでの原子力政策についても
未来に向けて「自省的」に検討することが
重要ではないでしょうか。
「戦犯」さがしにばかりやっきになるのではなく、
自分も含め、人間が失敗する動物である可能性
から目を閉ざしてはならない、と思います。

そして、以前から反原発を唱えていた人に関しても
すべてが先見の「明」とはならないと私は考えます。
オカルティストや陰謀史観の強い人もいますから。

不安に駆られて「勉強」すると、
怖い情報ばかり入ってくる……
これは真理ではないかと。

「自分の世界観の中だけで生きていれば、
何かの思想にくっついて物事がうまく進む
と思い込めていた時代は震災の日に終わった」
……という木蘭さんの意見はもっともだと思います。

次回の「ゴー宣道場」に向けて、
僕自身、そういった「勉強」の回路には陥らないように
虚心坦懐に学んでいきたいと思います。

切通理作のせつないかもしれない
#25 作家・泉美木蘭さんと、被災地以外の人にとっての<震災>を考える
http://www.nicovideo.jp/watch/1306472901
単身被災地に入り、取材活動を続ける作家の泉美木蘭さんがゲスト。図らずも長期取材をすることになってしまったという木蘭さん。当事者以外の人の、被災地・被災者との関わり方とは。

#26 地震・津波・核と共存することの意味
http://www.nicovideo.jp/watch/1307085039
単身、被災地長期取材を続ける作家の泉美木蘭さんゲストの2回目。木蘭さんのこれまでの執筆活動から、被災地で触れた生の声まで、広く深く話題は続く。

泉美木蘭さん自身が、写真解説を中心に
番組の理解を助けるためブログをUPしてくださいました。
http://t.co/ggqPMc8

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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