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高森明勅
2012.6.28 12:14

女性宮家「先送り」は許されない

『産経新聞』6月28日付の一面トップに「皇室典範改正 女性皇族の尊称保持 政府方針 結婚後も公務継続」
という記事が載った。

政府内部で、女性宮家の創設は先送りして、女性皇族がご結婚後も「内親王」などの尊称だけを保持して、
皇室の公務は継続できるようにする「妥協案」が浮上したという。

馬鹿馬鹿しいにもほどがある。

このプランがいかに出鱈目かは、既に高森ウィンドウズ「尊称だけの『内親王』『女王』5つの問題点」で徹底批判した。

未見の方はぜひご覧頂きたい。

それにしても、政府の無責任さには呆れかえってしまう。

皇室が直面している問題の本質は、現状のまま推移すれば、
やがて皇室には悠仁親王殿下お一人(及び妃殿下、お子様)だけになってしまう、という点にある。

すなわち、皇室存続の危機が、目前に迫っているのだ。

尊称だけの内親王や女王を認めても、皇室の危機はいささかも軽減されない。

それどころか、女性宮家創設を断念することで、危機を決定的に深刻化させる暴挙と言う他ない。

更に、尊称だけの内親王方に何の手当ても用意せずに、ただご公務の継続だけをお願いするのか。

もしそうなら、民間での普通の生活に伴う家事、育児等に、
ご公務が上乗せされるのだから、過大なご負担になってしまうだろう。

しかし一方、国民になられたにもかかわらず、尊称の他に皇族に準じる特別の待遇が用意されるのであれば、
それは国民の中に新たに「身分」制度を設けることになるのではないか。

皇室と国民という区別については、既に国内に揺るがぬコンセンサスが長く確立している。

しかし、国民の内部に新しい「身分」を作るとなると、話は別だ。

強い違和感が生まれる可能性がある。

それがより強まれば、これまで自然に受け入れられて来た皇室と国民の区別さえ、疑問視されることになりかねない。

国民の間での身分制を否認した憲法(第14条)との兼ね合いも当然、問題になろう。

皇室の存続を願うのであれば、道は一つしかない。

女性宮家の創設だ。

それ以外は、すべて邪道だと悟るべきだ。

しかも、残された時間は余りない。

女性宮家の創設を先送りしてはならない。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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