ゴー宣ネット道場

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切通理作
2012.7.26 22:06

産経の自衛隊差別捏造について

  大津いじめ自殺事件で、加害者の肉親と勘違いされネットで実名を晒された人々が深刻な被害に遭っているということは、まさに「ネトゴミここにあり」を象徴する出来事。しかし「じゃあマスコミはどうなんだ」という指摘も、たしかに正しい。

 

  7月23日、東京23区のうち半数近くの11区が、自衛隊の防災演習において「迷彩服を市民に見せられない」などの理由で隊の区庁舎への立ち入りを拒否し、7区が職員の立ち合いも置かなかったと、産経新聞が報道しました。

 

 東日本大震災であれだけ自衛隊の活動に対する感謝の念が集まったのに、もうそんな排除と差別が起きているのか・・・・・と嘆いた人も少なくないでしょう。
 私もその一人です。

 ましてや、東京に直下型地震が起こる可能性もある中で、自衛隊の防災演習に非協力的だなんて、区民の安全を真面目に考えているのか、不安を感じます。

 これは杉並区や中野区、豊島区といったそれらの区の実名を出しての記事です。ここまで実名を出して言い切るのですから、産経も覚悟を持って記事にしたのだと思いました。

 ところがその記事に対して「事実誤認である」と11区のすべてが訂正を求める旨を表明。

 この件に関しての各区HPでの説明を読むと、拒否派の区として名指しされた11区はいずれも訓練に対し積極的な意義を感じており、自衛隊にも協力的であるとしています。

 そして産経記者はわざわざ電話をかけてきて、事実確認をしてきたのにもかかわらず、事実に反する記事を書いたというのです。

 そんなバカなことが、11区の内の一つや二つではなく、すべてにおいて起こるなんてことが、あるのでしょうか。

 豊島区によれば産経は抗議を受けて記者が来庁し謝意を述べたとのことですが、その翌日24日の朝刊コラム「産經抄」において、当該記事を前提として、立ち入り拒否をしたとされる区の防災担当職員を批判する記事を掲載。

 豊島区がそれに関しても抗議すると、「担当部署が違っていたため、情報が共有化されていなかった」と説明を受けたとのこと。

 産経は記事の訂正を出しましたが、<11区で実施されなかったのは待機(宿泊)訓練であり、通信訓練においては協力拒否の事実はなかった>という、部分的な訂正を思わせるものでした。

 これでは、始めに問題提起されていた、区による自衛隊差別があったのかどうかわかりません。

 その後「産經抄」では26日、当該記事の誤報性を認め、それを追認したコラムを書いてしまったことに反省の弁が述べられました。

 区による自衛隊差別は、そういうこともあり得るという思い込みが「ある」という認識になってしまった・・・・・・というのが、過ちの説明です。

 「あり得る」と思い込むだけで「ある」ということになってしまうのだったら、新聞は流言飛語に対してなんのチェックも出来ないどころか、むしろそれを捏造して、流布する役目を担ってしまうことにしまいます。

 しかもこの説明はあくまで「産經抄」による追認コラムに対してのもので、はじめの報道に対するものではありません。

 元の記事がなぜ生まれたのかの検証記事はなくていいのでしょうか?

 元の記事には、自衛隊側の担当者による「訓練実施が決まると、反対運動が激しくなり、拒否派の区が増えた」という発言や、また陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊の石井一将連隊長による「全面的な協力を得られたのは7区で、 残りは『休日で人がいない。庁舎内の立ち入りを断られた区もあった」という発言も載っています。

 これらは、どう捉えたらいいのでしょうか?
 自衛隊の側の人間が、こういうことを言ったのは本当なのか?
 それとも、発言ごと捏造なのでしょうか?
 

 豊島区の説明によれば、待機(宿泊)訓練は、自衛隊の都合で取りやめになったもので、区が拒否したわけではないとのこと。

 ただ宿泊施設は設備としてない旨告げたら、自衛隊側は当初車両待機を提案、そのための駐車場を区は確保することを約束していたといいます。

 このあたりが「庁舎の中にも入れてもらえない」という拡大解釈を生んだのでしょうか。

 
 「区側は夜通し歩いてきた自衛隊員に冷たい対応をした」という記述は、自衛隊員の気持ちを記者が勝手に代弁したものなのか、現実そういう風に受け取る自衛隊の人間も居たということなのか・・・・・。

 もし、それすらも捏造なのだとしたら、これは単なる誤報ではないし、また事実の部分訂正で済まされるレベルの話ではありません。

 誤りを謝罪した26日の「産經抄」では、以下の記述がありました。

 「書籍や記事の内容、偉い人の演説、何でも『ほんまかいな』と、一度は首をかしげてみなければならない」

 たしかに正論です。しかし新聞が自らそんなことを言って憚らないようになったら、ネットで無責任な噂を流布している輩となんら変わるところがないのではないでしょうか。

 そう思っていたら、この件に関する複合的な要素を突き合わせた解説サイトが自主的に作られ(本来産経自身がやらねばならないことですが)、ここで、驚くべきことが指摘されています。
 http://getnews.jp/archives/236638

 産経の記事は、ジャーナリストの西村幸祐氏によるツイッターのつぶやき、および同氏によるチャンネル桜での「スクープ」に、安易に飛びついた後追い記事だったというのです。

 もしこれが本当なら、新聞そのものが、ネットの流言飛語をまともに検証することなく、拡散させていたことになります。

 マスゴミとネトゴミが同根だったという驚くべき事態にすら、我々が次第に驚きもしなくなってしまう世の中に、いつかはなってしまうのでしょうか。
 その前に、するべき議論はなんなのか、考えていきたいと思います。

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第28回ゴー宣道場
 『マスゴミとネトゴミといじめ』

平成24年8月19日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。
8月は 第3日曜日 の開催です絵文字:重要絵文字:重要

入場料は1000円。

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切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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