ゴー宣ネット道場

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切通理作
2012.10.16 06:59

安倍晋三を支持しないと非国民!?


 前回の道場で言い忘れたというか、流れの中で入りにくかったことで、小林さんから宿題として出されていたことがあります。

 

 僕が道場一週間前の打合せの席で、「安倍晋三待望論」が保守の中からなぜ起こるのか、理解できないと言ったところ、「ただ『理解できない』というだけではなく、なぜそうなのか、考えてから発言した方がいい」と言われました。

 

 そこで論壇誌の安倍待望論や、インターネットを見てみました。そして西田昌司参議議院議員がやっている動画『超人大陸』の10月1日の分で、同議員が次のようなことを言っているのにブチ当たりました。
 

  http://www.choujintairiku.com/mezame094.html

 領土問題は、占領体制下を引き継ぐ戦後レジームの中では解決できない、これからの勝負は戦後レジームを象徴するマスコミと戦うことにある・・・・・とした上で、西田議員はこう言います。

 

 実は、中国・韓国は敵ではない。そういうことを論じさせない、日本の内にあるマスコミや言論機関が本当の敵なのである。

 


 ここで大事なのはインターネット・メディアである。安倍氏が首相だった6年前にはいまほどの力はなかったインターネット・メディアが、ここ数年のうち、発展してきている。

 世論醸成の役に立ってきている。国民の1%が見るインターネット・メディアは、数にすると100万人。この人たちの存在で、世の中は変わる。

 マスコミの社説が本当に正しいのかという声を、発してほしい。それは安倍さん一人では出来ない。これからが本当の勝負なのだ――。

 

 以上の発言を聞いて、「中国・韓国は敵ではない」という発言に、僕はビックリしました。

 これでは完全に「日本の内側で盛り上がっている」だけではないでしょうか。

 従軍慰安婦が「性奴隷」であるということを「黙認」してしまったのが安倍さん自身であることは一切問わず、ただ内側で愛国心を盛り上げていればそれでいい。

 

 しかも西田さんは、「ネトウヨ層」を自分達の顧客として呼びかけ、「あなたたちが世の中を変えるのです」と言わんばかりに煽っているように思えます。

 ネトウヨ層の尻馬に乗って、国内の異論を排除することにのみ腐心し、外側に対してどう接していいのかは棚上げ中。

 

 フジテレビデモなど対メディア戦争を仕掛けることで団結を保っているネトウヨ推進メディア『チャンネル桜』では、安倍待望を叫ぶ市民デモ(彼らの発表によれば150人程度)の前に安倍晋三氏自らが姿を現し、握手をする様が映し出され、社長の水島氏がこう言います。「これが国民の声です」
 

  http://www.youtube.com/watch?v=nx4q8hrAeY4   

 つまり、マスコミで安部氏を批判する声はすべて戦後レジームの側にあり、非国民であるというのです。

 

 心安倍晋三にあらずんば非国民なり。これが「安倍晋三待望論」の正体なのでしょう。

 

 しかしこれは、安倍晋三氏がかつて首相になる前までの、あるいは3・11の原発事故以前の、日本がまだ内向きの言葉だけで団結していればなんとなく「愛国」心に浸っていられた、懐かしく美しい、彼らにとっての「よき時代」への完全なる退行ではないでしょうか。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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