ゴー宣ネット道場

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切通理作
2012.10.26 15:46

ヒーローとアメリカの正義


人々を助けるためのヒーローが

ただ悪を倒すだけではなく

悪人を生み出す社会の矛盾にぶつかり、

「世直し」に目覚めるが、

それは自らが「悪」以上の

迷惑な存在になることを意味している――。

 

昨日、小林よしのりさんがかつて描いた

ギャグ漫画『ザ・ヒューマン』を紹介させて頂きました。
https://www.gosen-dojo.com/index.php?page_id=0&block_id=57&active_action=journal_view_main_detail&key=jogyvlzlp-57&post_id=1526&comment_flag=1

僕はこれを単なるパロディとしてではなく、

「マトモに考えるとヒーローものってこういうところに

行き着くよな?」

ということを突きつめた

ものだと受け止めました。

 

 そして小林さんが20年近く前に描いた

<ヒーローものを本質的に考える>というこの姿勢は、

昨今のハリウッドのヒーローもの映画に

しっかりと採り入れられていると思います。

 

 たとえばバットマンの最新シリーズであるダークナイト編。

 その第一作『バットマン ビギンズ』での、主人公の

思考の順序を大雑把にたどると、次のようになります。

 

 幼い頃、自分の親を殺された

 ↓

 犯人は逮捕されるが、死刑にならず彼が青年になった頃に釈放されてしまう

 ↓

 その犯人を銃で撃とうと秘かに思うが、別の刺客に殺される

 ↓

 こうした犯人を生み出したのは「街の不況と治安の乱れ」だと認識

 ↓

 街の治安を乱す悪のボスにいきなり会いに行って怒りをぶつけるが「八つ当たりだ」と言われる

 ↓

 しかし悪のボスの差し金で

そもそも両親も、両親を殺した奴も消されたのではないかと疑い、

犯罪者を見逃す構造の「世直し」に目覚める

 ↓

 悪と戦うには自分も闇を取り込もうと、わざと罪を犯して刑務所に入って

犯罪者心理を学んだり、

 闇の修験者のような団体と接して、

精神修養や技を磨くなど紆余曲折の日々。

 親が殺されたのも親に力がなかったからだと、力に目覚める。

 ↓

 闇の修験者たちがどこかから捕えてきた悪人を殺せと言われるが

現実に目の前に居る人間はたとえ悪いやつでも

自分の手でとどめを差すことは出来ないと闇の修験者たちに造反し、

なぜか全員修験者たちをボコボコにブチのめす。

 ↓

 生まれ育った治安の悪い街に戻り、世直しを始める。

それに際して「シンボル」が必要だと

仮面の男バットマンになる。

 ↓

 闇の修験者の集団も街にやってきていて、

「こんな悪い街は滅ぼせ」と破壊活動を始め、

バットマンと戦う。

 バットマンは彼らのテロから街を救う。

 どうです?
 
 まさに小林よしのりさんが戯画化した
ヒーローの思考の順序に当てはまっていますよね。

 闇の修験者たちの破壊活動は、
バットマンが誕生するひとつの
バックボーンだったわけですから、
ヒーローそのものの持つ破壊的な
要素を分け持っていると取れます。
 

  

 

 そしてこの話は続編『ダークナイト』につながっていきます。

 こっちの方をさらに大雑把に順序立てると、

こうなります。

 

バットマンのおかげで、

仮面で世直しする<マスクマン流行り>が起きて

正義の味方を気取る偽バットマンがはびこる

 ↓

 「ジョーカー」と名乗る、

バットマンに対抗するマスクマンが

現われ、秩序の反対の「混沌」をもたらす

 ↓

 バットマンは混沌を恐れ町中の人々の

携帯電話をチェックして

身内からもファシスト呼ばわりされる

 ↓

 殴り合いしてるやつが正義を唱えても

限界があると悟り、

表の正義を施行する地方検事を

光の騎士(White knight

として押し立てる

 ↓

 ところがそいつが恋人の死に際して精神が錯乱して

殺人を犯したため、バットマンはその罪を背負って、

自分はしょせん表向きのヒーローじゃない!

闇の騎士(Dark knight」でいいんだ!

と闇に去っていく。

 

 この二作目は

ヒ―ローが裏に回った策謀者となったり、

悪を背負うということが強調されます。

 

 さらにその先は今秋公開された

『ダークナイト ライジング』に

続いていくわけですが、

 

 ヒーローというものを、

誰もが考える、

身近な人を救いたい、

強くなりたいというレベルから、

 

 悪を生み出す構造にまで手を

出さねばならないレベルまで想像を広げ、

 

 秩序を守るには悪になることさえ

必要だというところまで思い至る・・・・

 

このダークナイトシリーズは

フィクションの中で

出来るだけ、

 

もし「正義」というものを

「どっかで誰かが守ってくれるんじゃないの?」という

棚上げをまったくしないで

自分の側から考え詰めていったら

どうなるか?という

思考実験になっていると

思います。

 

つまりスーパーヒーローというものは

「正義の思考実験」

だと思うのです。

 

それが「実験国家」たる

アメリカに似てくるのは、

ある意味必然なのかもしれません。

 

かつて『ザ・ヒューマン』で

ヒーローの思考を

戯画化して描いた小林よしのりさんは

数年前ゴー宣の欄外で

公開されたばかりの『ダークナイト』について書き、

バットマンを通して

アメリカ人の「世界の警察」として秩序を守ろうとする覚悟を

改めて思い知った・・・・

と書いていたのを思い出します。

 

アメリカ批判をすることが多い

小林さんですが、アメリカのスーパヒーロー

への親和性があるようです。

 

そして「アメリカの正義」を

否定できないところもあるのでしょう。

 

その辺についても、

当日は話を聞きながら

語っていくと

面白いんじゃないかと思います!

 

ヒーローは

いつでも

現実を考える時に出てくる存在なのだと

僕は思います。

ヒーローを求める心について

考えること。

それは我々人間とは何かについて

考えることなのだと思います。

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
アットビジネスセンター東京駅八重洲通り にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着

当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

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「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

次回の開催予定

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第93回 令和2年 11/8 SUN
14:00

テーマ: 「愛子皇太子の可能性」

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