ゴー宣ネット道場

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切通理作
2012.10.29 15:56

ヒーローは有害な異常者か


 次回道場「サブカルヒーローの本質に迫る」
いよいよ本日が応募締め切り最終日。

 ネットの応募は確実に間に合いますので、
ぜひ参加ご希望くだされば幸いです。

 

 スパイダーマンにせよ、バットマンにせよ、
アメコミが原作ですが、日本の観客の多くは
もとの原作を読んだことがないし、
そのことを特に気にもしていません。

完全に映画として自立した形で親しまれています。
「一見さんお断り」の風潮が強い日本のオタク文化とは
一線を画していると思います。 

 

 しかし、むしろだからこそ、
昨今はスーパーヒーローものを
アメコミ原作の段階にまでさかのぼって
「どんなもんなんだろ」と
興味を持って読んでみる
日本のファンも増え始めています。

 

僕は次回の道場に向けて、
なんらかの参考になると考え、
バットマンのコミック『ダークナイト・リターンズ』
を読んでみました。

そして驚きました。

 アクションでページ稼ぎをするような部分はほとんどなく、
ものすごい密度と情報量なのです。

 

 バットマンが出撃する場面すら、
その上下及び前後には、
バットマンの行動や存在それ自体の是非を
テレビカメラの前で語るニュースキャスターや学者、
市民の声でサンドイッチのように挟まれます。

 

たとえば登場する悪役の一人・トゥーフェイスこと
ハーヴェイ・デントは、
心の中に暴力性を秘めた不安定な人格であり、
悪事を働いていない時は精神科医の診察を受けていますが、
この精神科医はテレビの取材を受けて、
こう語ります。

 

「もしも、デントが再び犯罪に走ったとしても、
責める事はできない。彼は心神喪失状態にあるんだ」

 

だったらバットマンはどうなの?
というキャスターの質問に、彼は答えます。

 

「まるで違うさ。
あの男は、自分の行いが及ぼす効果まで、
全て知り尽くしている。
ファシストはみんなそうだ」

 

権威ある有識者は
悪人こそが同情すべき存在であり、
人権を抑圧し民主主義の根幹を揺るがすバットマンは
危険人物だと言うのです。

 

またある識者は、
犯罪を引き起こしているのはバットマンであり、
彼のいわゆる宿敵たちは
「バットマンが自己陶酔に浸るための道具」
だと腕を組みながら言います。


 敬虔なカトリック教徒も
バットマンを有害視しています。


 

もちろん「今の社会は愚法と閉塞感に縛られて、
息もできない。そんな現状に風穴を開けられるのは、
彼しか・・・・・・」
と切実な声を挙げる市民もいます。

                                                                                                             

 しかし、そんな声にも
「それこそがマスコミを利用する
ポピュリズムのあらわれ」
という社会学者の声が覆い被さります。

 

 ヒーローなどは即物的な刺激剤であり、
社会は長い目で見ていかなくてはならない・・・・・
としたり顔で言う身なりのきちんとした紳士は
「私はこの街の人間じゃないけどね」と、
街頭で突きつけられたマイクの前で
ニヤけた顔で言い添えます。

 しょせん当事者じゃないのです。

 

 当事者じゃなければ、
いくらでも引いた目で物ごとを見ていられます。
 文字通り、
テレビの中で起こったことなのだと割り切れば・・・・。

 

 『ダークナイト・リターンズ』作者の一人である
フランク・ミラーはまえがきでこう書いています。

 

「私は、自らを取り巻く犯罪だらけの社会を
物語に反映させようとした。こんな世の中を
正せるのは、底なしの脅迫観念と
ハーキュリーズのような肉体を併せ持つ、
半ば狂った天才以外にありえない」

 

 作者自身がヒーローとはまともな人間ではなく、
天才ではあるが異常者だと言うのです。
 そんな人間が出てこなければ、正せないと。

 

 そして、ヒーローの真の敵は、
実はトゥーフェイスだのジョーカーだのといった
悪役として設定された人物ではなく、

「口先だけの」言論をふりまわす、
事態を「まともに伝える言葉すら」
持っていない者たちなのだと。

 

 フランク・ミラーがここまで書くのは、
アメコミが有害図書として識者に糾弾され、
社会にバッシングを受けたという苦い過去から
くるものであることも、
このまえがきを読むとわかります。

 

 つまり、アメコミのヒーローは、
実は当のアメリカでも、
手放しで礼賛されているわけではないのです。

 

 むしろ有害視された歴史があり、
そのことは決して過去のものになっていない。
 糾弾されたり、時には訴えられたりする
ヒーローの姿として
物語の中に反映されているのです。

 

 アメコミヒーローは、
機能不全になっている
アメリカ社会の陰画なのかもしれません。

 

 そんな中、ヒーローは、次の事に気付かせてくれる
存在であると、
『ダークナイト・リターンズ』には書かれています。


 「『力』は常に我々の内にある。
どんな困難な状況にあろうと、
抗う『心』は忘れてはならない」と。

第31回ゴー宣道場「サブカル・ヒーローの本質に迫る」

平成24年11月11日(日)午後1時 から
『アットビジネスセンター東京駅八重洲通り』 にて開催します。

「アットビジネスセンター東京駅八重洲通り」
(住所:東京都中央区八丁堀1-9-8 明光商会本社ビル4階)は、
JR 『東京駅』八重洲口 より徒歩10分、
日比谷線 『八丁堀駅』
A5出口 より徒歩2分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

会場のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、http://abc-kaigishitsu.com/tokyo_yaesudori/access.html でどうぞ。

入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第31回参加希望』 と明記、

さらに、


1.
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5.
職業(学生の方は学校名)
6.
募集を知った媒体
7.
応募の理由と道場への期待

返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、

152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。

応募〆切

平成24年10/31(水)必着


当選された方にのみ当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

今回より、応募は

従来の応募はがきに加え、
このホームページからも
受け付けることになりました!!
↑のHPメニューの右端に
「道場参加申し込み」
というのができました!

これをクリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に
「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ
「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、

その「当選メール」をプリントアウトの上、

会場までご持参下さい。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

次回の開催予定

第93回

第93回 令和2年 11/8 SUN
14:00

テーマ: 「愛子皇太子の可能性」

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