ゴー宣ネット道場

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切通理作
2013.1.17 09:36

決められない・決めてはいけない

 皆さん、小林よしのりさんの新刊『ニセモノ政治家の見分け方』読みましたか?

 

 「ダマされても、ダマされても、すぐに忘れて、またダマされた」というコピーが帯に掲げられている通り、騙されないためにはどうしたらいいかの軸を作る時、重要な示唆に富んだ本になっています。

 

 著者の小林さんが、たとえばゴー宣で原発のことを書くと、すぐに「専門家はついているのか」「学者のお墨付きなのか」などというイチャモンが寄せられるといいます。

  

 それに対して小林さんは、ごく普通の庶民でも持ち得る直感を信じ、リテラシーで対抗しています。

 

 今日の東京新聞で、柏崎刈羽原発再稼働の是非をめぐって市民が請求していた県民投票条例案について、新潟県の泉田裕彦知事が「県民が再稼働の是非を判断するための情報が不十分だ」と事実上の反対意見を付けて県議会に提出したとあります。

 

 これ、ゴー宣に対するイチャモンに似ています。

 専門家でも学者でもない一般人のリテラシーなど、聴く必要はない、と。

 

 それでも、さすがに地元で自ら県民に接している立場もあるのでしょう、泉田知事は「こうした課題が修正されれば、県民投票を実施すべきだ」というコメントも発表し、県民投票そのものは「重要事項の決定を直接民主的手法で補完していくことは、選択肢の一つ」と評価する姿勢をみせています。 

 

 いったいどこまで情報が提供されれば国民が「知った」ことになるのかという基準をハッキリさせてほしいところではありますが……。

 

 ところがそこへ、定数53のうち33議席を占める自民党の早川吉秀政調会長が出てきて十六日、記者団に発言。

「この時期に賛成、反対で(再稼働の是非を)決めるべきではない。党としてもそういう方向でまとまるのではないか」

東京新聞は、これによって県民投票条例案は「否決の公算が大きい」と記しています。

 

自民党は、次の参院選までの「決められない政治」戦術を、こうして国民にまで押しつけようというのでしょうか。

 

そんな中、所謂<知識人>が、物事を明快に指南する役として、少しでも機能すればいいのですが、『ニセモノ政治家の見分け方』にもあるように、「二項対立では問題は解決しない」などと高見に立って腕を組んでいるのが頭のいい証拠とばかり構えている向きが多いようでは、絶望的です。

 

帯のフキダシで小林さんが言っている「こんな日本人でいいんですか?」という言葉を、自らにも斜め上にも問いかけたくなります。


切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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