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高森明勅
2013.5.1 14:49

「国民の2分の1」の嘘

安倍首相は憲法96条改正に対し、
与野党に反対論や慎重な意見が根強いことを、
次のように批判しているという。

「それは事実上、国民投票をさせないために言っているに等しい。
国民はそうした国会議員に対して、
もっと怒らなければいけない。
国民の見識を信じ、(国民投票で)
2分の1の国民が賛成するものは変えていく」と。

国家の基本法、最高法規たる憲法の改正に当たり、
国会で衆参両院の3分の2の賛成を得るべく、
冷静に、慎重に議論を積み上げようとするのは、
国民の付託を受けた国会議員の当然の責務であって、
その仕組みを残そうとすることは、
「国民投票をさせない」という話では勿論ない。

こうした短絡は、どこから生まれるのか。

おそらく国会での審議を軽視し、
自らの説得力に自信が持てないことに由来するのではないか。

しかも、「2分の1(以上)の国民が賛成する」改正を、
もし本気で考えているのならば、今からでも遅くない。

国民投票法を改正して、
しっかり最低投票率を規定すべきではないか。

“国民の過半数の賛成”を切り札に持ち出しながら、
実は例えば50%以上といった最低投票率さえ、
設けられていないのだ。

これは、50%の投票率さえ覚束ない場合があり得る、
と見越しているからだろう。

そうすると、有権者全体の4分の1以下の
「賛成」での改正というケースも当然、予想出来る。

第1次安倍政権の時に成立した国民投票法の、
こうした仕掛けを安倍氏本人が知らないはずはない。

「国民の2分の1の賛成」による改正といったデマに、
くれぐれも惑わされてはならない。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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